【ものづくり補助金】16次締切公募開始!採択に向けた 事業計画書作りについて!
目次
はじめに
みなさんこんにちは! 坂本経営事務所 代表 中小企業診断士の坂本です。
2023年7月28日に「ものづくり補助金」16次締切分の公募が開始されました。
以下の記事は、『通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠』
を対象としており『グローバル市場開拓枠』の固有の事象には呼応しておりません。
といったことで、ここからは、ものづくり補助金(除く、グローバル市場開拓枠)の事業計画書作成要領について
お知らせいたします。
16次締切分『一般型』にチャレンジされるみなさん!
確実に採択されるよう、今から、したたかに動き出しましょう!
””支援者(専門家)に頼らずに、自社で申請作業を成し遂げたい、でもできるかどうか心配!””
と思われている方は、是非、⇓コチラ⇓をご参照下さい。
16次締切公募期間内(11月7日まで)に限り、お値段据置で、
●『デジタル枠』の要所を反映させたサービス開発の記載例
●炭素生産性向上の取組(様式3)の記載例
をお付けさせていただいております。
それでは、16次締切分の主要点を紹介致します。
ものづくり補助金、16次締切分の公募要領主眼点
事務局より、支援者の不適切な行為について警告が出ています(以前より継続)
・作業等にかかる費用等とかい離した高額な成功報酬等を申請者に請求する
・補助金申請代行を主たるサービスとして営業活動等を行う
・金額や条件が不透明な契約を締結する
・中小企業等に対して強引な働きかけを行う
・申請書に虚偽の内容の記載を教唆する、または、作成支援者名を記載しないように求める
これに対し当事務所では以下の通り宣言いたします。
過去にも、法外な報酬を要求された事例を耳にしたことがあります。
また、記述の型に無理やり当て嵌め、自社にそぐわない申請書を仕上げるサービスをしているところも
あるようです。(あきらかに、補助金法に抵触します)
支援者は慎重に選んでください。
概して、大きな変化点はございません。
事業計画書の記述に関する要求事項は全く変わっておりませんし、
審査項目も変わっていません。
したがって、あまり神経質にならず以下の変化点を習得してください
①「経済産業省又は中小企業庁から補助金等指定停止措置または指名停止措置が講じられている事業者は補助対象となりません」
と冒頭に注記されました。これは、当然のことであり解説は不要と存じます。
②事業の遂行(事業化状況報告を含む)に主体的でないと判断される事業者。(GビズIDを他者に
貸し出す、他者が取得したGビズIDを使用する、事務局との窓口担当者を外部に任せる等の行為
は主体的でないとみなします。)
・・・要は、このようなことをした事業者は不採択とします!と言っているようです。
文中の「GビズIDを他者に貸し出す」
ケースとしては、GビズIDを支援者に貸し出し、ワンタイムパスワードを連絡し、
電子申請を支援者に丸投げする、このようなことだと思います。
これだと「主体的でない」と判断されるかもしれません。
ただし、申請者がITオンチで電子申請ができない。だから、ご自身のGビズIDを
支援者に教えて一緒に電子申請を行う!このケースについては大丈夫なような気がします。
いずれにしても、主体的でないとはかなり拡大解釈されます。
上記事例は「氷山の一角」ですので”支援者等に丸投げ”は止めましょう!
③事業譲渡を受けた者等補助金交付候補者以外の者が交付決定を受けることはできません。と明言化
公募要領に以下の文面が追加されました。
「補助金交付候補者、つまり、申請を行って採択された者が唯ー交付決定を受けることができる」
これが大前提となります。
次に、「事業譲渡を受けた者等補助金交付候補者以外の者が交付決定を受けることはできません」
逆を返せば、補助金交付候補者が交付申請を行い、交付決定が下りた後に事業譲渡等を行えば
事業譲渡を受けた者等が補助金の交付を受ける(もらう)ことができます。
そして、交付後「給与支給総額の年率1.5%以上増加」や「事業場内最低賃金+30円の水準」
といった基本要件を事業譲渡を受けた者等がクリアしないと、基本要件を事業譲渡を受けた者等が
補助金の返還義務を負うことになります。
一寸、ややこしかったでしょうか!
①主として従業員の解雇を通じて、要件や目標の達成のために付加価値額等を操作させるような事業
②法令に違反する及び法令に違反する恐れがある事業並びに消費者保護の観点から不適切であると認められる事業
の2点が追加されました。
①は合法的な解雇といえども「ものづくり補助金」の建付けには馴染まない、といったところでしょう。
②は常識的なことですね! ただ、今回追加された背景には、このような申請が散見されている、
といったことがあるのかもしれません。
公募要領に
参考:GX リーグ公式 WEB サイト(https://gx-league.go.jp/)
※今年度の参画企業募集は終了しています。2024 年度からの参画を希望する場合は
2024 年 1 月 1 日から 2024 年 2 月 29 日までに参画申し込みが可能です。
これを読む限り、16次締切公募においては、
既に参画企業の登録を済ませていないとこの選択肢は使えないのかもしれません。
ただ、この「GXリーグ参画」以外にも、
後述するその他3つの要件の中から1つが満たされれば良いわけであり、
大勢に影響はないと思われます。
トピックスは、赤字部のところです。解説は不要と思われますので割愛させていただきます。
・前述の通り、「社会福祉法」第32条の認可を受けた法人が補助対象者となったこと
・従来からの、対象業種・人員・組織構成・に加え「補助対象外」となる行為を
表現しわかりやすくなった
ことです。
詳細は割愛させていただきます
申請されるみなさんは、必ず、公募要領8~11ページ目をご参照ください。
「革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い生産性を向上させるためのための設備投資等」
ここが肝になるところですね!
革新的な事業展開を図り、儲けることで、雇用の拡充と賃上げといった国策に貢献して下さいね!
そして、他事業者のモデルとなって日本経済を活性化させてね!
これが、補助金を出す側の意図です。
生産性の向上については「生産の4M」を切り口に考えていくと事業計画書が作りやすいようです。
Man:ヒト、Machine:機械装置、Material:材料・治工具、
Method:方法(生産プロセス)
特に意識していただいたいのが「Method:方法(生産プロセス)」です。
「デジタル枠」のDXは、まさに生産性向上のための手段です。
「グリーン枠」については、一般的な「生産性向上」のほかに「炭素生産性向上」
が問われますので、今後リリースされる「様式3」を押さえておいてください。
公募開始:令和5年7月28日(金) 17時~
申請受付:令和5年8月18日(金) 17時~
応募締切:令和5年11月7日(火) 17時
<通常枠>
これが、本来の「ものづくり補助金」のスタイルです。
ものづくり補助金の中で、通常枠で申請される中小企業者だけが補助率1/2
であるのが残念です。
<回復型賃上げ・雇用拡大枠>
こちらは、
「応募締切時点の前年度の事業年度の課税所得がゼロであり、常時使用する従業員がいる事業者に限る」といった縛りがあります。
それから、本枠では「大幅賃上げに係る補助上限額引上の特例」を活用することはできません。
<デジタル枠>
単にデジタル製品の導入やアナログ・物理データの電子化にとどまり、既存の業務フローそのものの見直し
を伴わないものはデジタル枠に該当しないようです。
そして、業務フロー、つまり製造方法・提供方法の革新性の度合いで採否が決定されることでしょう!
<グリーン枠>
14次締切分から3つの類型の中からみなさんの会社の実情に沿ったものを選択し申請することになりました。
「エントリー類型」とは、後述の通り対応項目は少ないが補助上限額が1,250万円と3つの中では一番低いものです。
「アドバンス類型」とは、後述の通り対応項目は多いが補助上限額が4,000万円と3つの中では一番高いものです。
「スタンダード類型」とは、上記2つの中間に位置するものです。
温室効果ガスの排出量削減については、装置メーカーや商社に明快な回答を
求められるのが宜しいかと存じます。
<基本要件>
基本要件は、もうお馴染みですね!
①②は、意思(方針)の問題です。後述の「補助金返還」といったペナルティー
が規定化されていますが、こちら、余程のことがない限り該当はしないと思います。
ただし、従業員のことを思ったら、それなりの意思をもって臨む必要があります。
また、公募要領に、以下のような目標据置の特例が記されています。
「回復型賃上げ・雇用拡大枠」は対象外ですので為念。
<基本要件未達の場合の返還義務>
*「再生事業者」である場合には、各目標が達成できていない場合であっても
返還は免除されるようです
「賃上げ計画」についてはその通りだと思います。
「給与支給総額の増加目標未達」「最低賃金の増加目標未達」に関しては、
救済要件が強烈でかなり救われるのだと思います。
なぜなら、「付加価値 年率3%以上増加」といった要件がありながら、
付加価値が思うように伸長しなかったら、返還は求めない。
といった制度になっているからです。
つまり、自助コントロールがかなり効きそうですよね!
<デジタル枠の追加要件>
こちらは、デジタル枠で申請する場合、上述の基本要件に加え満たさなければならない要件となります。
(1)については、公募要領の15ページ目に具体例が示されていますのでご参照下さい。
留意点は、
・単にデジタル製品の導入やアナログ・物理データの電子化にとどまり、
既存の業務フローそのものの見直しを伴わないもの
・導入先企業において前述の単なる電子化にとどまる製品・サービスの開発
はデジタル枠に該当しません・・・ということです。
これによってデジタル枠で不採択となると「通常枠」審査においても
採択は難しいと思います
なぜなら、DXとはデジタル技術の高度化が問われるのではなく、
業務フローそのものの見直し等その活用方法による効果が問われるからです。
(2)(3)は、難しいことではありませんので15ページ目の手順に従い実行しましょう!
<グリーン枠の追加要件ー共通事項>
こちらが「エントリー類型」「スタンダード類型」「アドバンス類型」共通の追加要件です
(1)の具体例として、公募要領の16ページ目に、
・生産工程の労働生産性向上を伴いつつ脱炭素化に資する設備投資
・複数ラインの作業工程を集約・高効率化
といった事例が載っています。
一見、複数ラインの作業工程を集約・高効率はカッコよさそうですが
効果は限定的かもしれません
また、以前の様式2(16次締切分での様式3は現時点では未公開)では、
・自社工場内の●●工程にA社製のYYYYを導入する。あわせて、太陽光パネルを設置する。
といった事例が載っています。
こちらの事例からすると、YYYY設備の導入と太陽光パネルの設置には親和性が感じられませんでした。
これで良ければ、生産性向上に資する事業計画書と炭素生産性向上に資する「様式3」
はそれぞれ別個の視点から作り上げても良さそうです。
これであれば、「グリーン枠:は難解だ! ということも無さそうです。
<グリーン枠の追加要件ーエントリー類型の付加要件>
ここで付加される要件は「管理レベル」のことなのでさほど厄介では無さそうです。
ただし、現時点で実践されていることが必須です。
<グリーン枠の追加要件ースタンダード類型の付加要件>
こちらが、「スタダード類型」の付加要件です。
こちら、3.を除いては、自社にとって有益なものを計画的に整備しておくことが肝要と思われます。
<グリーン枠の追加要件ーアドバンス類型の付加要件>
こちらが、「アドバンス類型」の付加要件です。
わたしには、8~11の内容や難易度が良くわかりませんので解説は割愛させていただきます。
そして、今回の16次締切公募で「GX リーグに参画していること」が選択肢として追加されました。
<回復型賃上げ・雇用拡大枠の個別要件>
(1)(2)は、該当するしかない、Yes Noいずれかの話ですね
(3)は要注意です。理由は、後述の通り、
翌年度の3月末時点で給与支給総額要件最低賃金要件がクリア―できていないと
もらった補助金を全額返還しなければならないからです(救済処置はありますが・・・)
<「回復型賃上げ・雇用拡大枠」における未達の場合の補助金額の返還の特例>
そうです。補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点(おおよそ計画1年目)で、
「給与支給総額増加用件(1.5%(1%)増加)」と「地域別最低賃金⊕30円」を
クリアしないと全額返金に応じなければなりません。
天災など事業者の責めに負わない理由がある場合補助金返還は求められませんが、
付加価値未達による救済は無さそうです。
ちなにみ、その他の枠では
・給与支給要件は、あくまで事業計画期間(3~5年)終了時点で、1.5%(1%)
×事業計画期間年数の増加率を確保できていれば、当該時点で実現できていなくてもOKです。
・最低賃金要件が当該時点で実現されていなくても全額返還は求められません。
補助金額を事業計画年数で除した額の返還で足ります。
まず申し上げたいのは、
・回復型賃上げ・雇用拡大枠での申請
・各申請枠の補助金額の上限額に達しない場合
・再生事業者、常勤従業員がいない場合
には適用されません。これは、何となくおわかりですね!
それでは、個々に見て行きましょう
●補助上限額の引上枠
パッと見、従業員数21名以上の企業にはありがたいかも知れませんが、
従業員数が20名以下の企業については如何なものでしょうか?
●基本要件に加えた追加要件
1つ目は、給与支給総額を年率平均6%以上増加させることです。
つまり、3年計画であれば、3年後には今より18%増加させることが要件です
賃上げだけでなく人員増も踏まえて達成すればOKです
2つ目は、事業場内最低賃金を 年額+45円以上増加させることです。
具体的には、
申請時点の最低賃金:1,000円とすると
・1年後:1,000円+45円=1,045円以上(1年後=補助事業を完了した事業年度の翌年度)
・2年後:1,045円+45円=1,090円以上
・3年後:1,090円+45円=1,135円以上
となるようです
3つ目の具体的かつ詳細な事業計画とは、給与支給総額の増加や最低賃金の引上げは
「付加価値額」の増加があってのことです。
つまり儲けることができる説得力が一層求められるということです
●基本要件の返還要件に加えた追加の返還要件
まずは、3項目すべてにおいて””上記補助上限引上額の返還を求めます””
と書かれています。
たとえば、従業員数21名以上の企業が「通常枠」と「本特例」を活用し
2,250万円の補助金額を申請。ただし、基本要件はクリアできていたが追加要件が
実現できなかった場合、通常の上限額である1,250万円に戻される、といった感じです。
また、従業員数21名以上の企業が「通常枠」と「本特例」を活用し
1,600万円の補助金額を申請。ただし、基本要件はクリアできていたが追加要件が
実現できなかった場合も、通常の上限額である1,250万円に戻される、といった感じです。
したがって、従業員に本件を明快に説明した上でチャレンジされることも
一考の余地があるかもしれません。
以上、不明な点は、何なりと お問合せ 下さい
「デジタル枠」「グリーン枠」においても事業計画書を作る上で主眼となる『生産性向上施策』は、
他の「通常枠」や「回復型賃上げ・雇用拡大枠」と一緒です。
この、技術面・事業化面の審査項目は従来と全く変わっておりません。
・新製品・新サービス・新工法の推進課題とその解決法
・そのための体制、需要をキャッチアップできる方策
を理路整然と記述されているか、といった視点で審査はされるようです。
「デジタル枠」の事業計画書作成については、概ね、以下のことを押さえれば
特段煩わしいことはありません。
・試作開発・サービス開発の類型では、開発品がDXに資するものであること
・生産プロセス改善・新提供方法導入については、デジタル機能の長所を生かした
機械装置やソフトウェアを活用し生産性向上に資するものであること
・DXとはデジタル技術の高度化が問われるのではなく、業務フローそのものの
見直し等その活用方法による効果が問われるということ
「グリーン枠」の事業計画書作成については、概ね、オーソドックスな「通常枠」
と同様です。
公募要領の16ページ目に、「複数ラインの作業工程を集約・高効率化」なんて例題
も出ていますのでまさにそうですね。
あくまで、グリーン枠で要求されている、
温室効果ガスの排出削減に資する取組みは、「様式3(様式は別途事務局HPでご案内)」
で記述するものであり、こちらはこちらで、指示事項に従い記述知れば良さそうです。
やはり、あまり特別な意識を持たずに淡々と事業計画書を作られるのが
宜しいかと存じます。
事業計画書は審査項目に従って記述しないと点数は入りませんよ!
こんなことを良く耳にしませんか?
ハイ、そうです。100%正解です。
ただし、””言うは易し行うは難し””
自身の思いと審査項目を紐づけて事業計画書を作成するのは至難の技です。
その道筋を丁寧にコーチングさせていただくのが、弊事務所で配信させていただいております
「ものづくり補助金オンライン講座」でございます。
政策面での審査は審査員でなく経済産業省の職員が最終段階で行います。
したがって、「地域未来牽引企業」の選定受け、「地域経済牽引事業計画」の承認
などは優遇はされるのかもしれませんが、全体感としての整合性・信ぴょう性
も踏まえ総合面で審査されるのではないか、と考えています。
したがって、上記が成されていなくてもハンディーキャップを感じる必要はございません。
粛々とこれについて記述すれば良いと思います。
2つ目は④です。
・先端的なデジタル技術の活用・・・「デジタル枠」
・低炭素技術の活用、環境に配慮した事業の実施・・・「グリーン枠」
といったことで、一見「デジタル枠」「グリーン枠」が有利のように思えますが、
「通常枠」でご申請の方は、
経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等・・・
で頑張ってみましょう!
3つ目は⑤です。
「成長と分配の好循環」 これは、岸田内閣の肝入りのです。
要は、中間層の所得を上げ消費を拡大させる政策のようです。
成長と分配の好循環を実現させるために、有効な投資内容・・・・と書かれていますが
要は、挑戦的な賃上げができるよう業績を上げてください、
そのための設備投資を評価します・・ と言っているようにしか伺えません
個人的には、「賃上げ加点」という制度がありながら、さらにこれを助長させる意図が良わかりません。
ご興味のある方は、コチラ 覗いて見てください
こちらは「グリーン枠」のみが該当する「炭素生産性」向上の取組みの審査項目です。
そして、事業計画書ではなく
「炭素生産性向上・温室効果ガス排出削減等の取組(様式3)」
の記述内容で評価されます。
①については、過去の「様式2」に記載の「太陽光パネルの設置」だけでは弱いかもしれません。
生産の4M(Man,Machine,Material,Method)の視点から記述する
のが宜しい
かと存じます。
基本的に①~③については、上述の「技術面」の審査と同様の視点で審査されるようです。
④については、これから始めます!では厳しいかもしれません。
加点項目がこれだけあります。特に、政策加点で9項目あります。
”これらにおいて取れるだけ取っておかないと厳しい勝負になるのか?”
これを危惧される方が結構おられると思います。
あくまで私見ですが、各省庁の肝入りテーマを成功に導くために
ものづくり補助金を活用している、このような色彩が強いように伺えます。
前向きに、””必要なものにアプローチすることで加点が取れればOK””
このような姿勢で臨めば宜しいかと存じます。
詳細のコメントは割愛させていただきます。
過去・直近の「採択・不採択」の事例から学ぶ!
ものづくり補助金は、事務局に問い合わせれば不採択となった事由を教えてくれます。
これを整理したのが以下の項目です。
「ものづくり補助金」申請書・事業計画書を作る前に必見です。
☑新規導入により通常達成できる技術課題のように思われる(革新的でない)
☑導入後達成できる「精度」「リード単位のコスト削減」等のデータが具体的でないので判断しかねる
☑ソフト面(デザイン・色彩力・イメージ力)が必須=設備のみの話
☑通常投資計画展開レベル
☑設備能力に依存する面が多く革新性が少ない
☑設備的課題と判断
☑曲加工精度のより詳細で定量的な検討必要
☑更に新しい加工技術への挑戦が感じられない
過去の「ものづくり補助金」不採択事由を3つの共通項で色分けしてみました。
たとえば、『非対面・遠隔操作だけでは独創的施策とは言えない』
「低感染リスク型ビジネス枠」に該当し補助率が1/2から2/3に引き上げられるのは好ましいことですが、
当該設備・機器の導入+操作手順がパッケージ化されていますので、これだけでは差別化要因とはなりません。
きっと、1~2年前は、このテーマで充分に採択になったのでしょうが、現在では、
これだけでは弱いようです。
世の中的には良いことなのでしょうが、非対面・遠隔操作ができる装置の導入だけでは
効果が十分ではないかもしれません。
たとえば、当該装置の導入と搬送系の省力化を併行して実施されたらいかがでしょうか
最近ですと搬送ロボットやAIを取り入れた搬送システムなどがあります。
半製品(工程完成品)の外観等をAIが学習し次工程に自動搬送するシステムです。
このように複合的に考えていくと、かなりコストパフォーマンスが改善されるかもしれません。
これだったらどうでしょう。「ものづくり補助金」申請書にこのような記述があれば、審査員も良いところに着眼したな、と思っていただけるかもしれません。
2つの事象は、定量的に書かれていないから””具体性に欠ける””と判断されたようです。
きっと、申請書の肝になる部分が定量的に書かれていなかったのでしょう。
この例以外に私が感じるところは、締め切り間際に「付け焼刃」で書くから、中身の薄い事業計画書となってしまい、「具体性に欠ける」との大儀名分を下されるケースが多いということです。
これの解消策は、“前倒しの着手”これに尽きます。
他方、””具体的に書くと専門的になりすぎて審査員に理解してもらえない””
と心配される方がかなりおられます。
ここは、
●文章の初めの目的は伝わりやすく、
●次の方法論はまあ専門的な表現を使い、少しわかりづらくても高度な取組みのように示す
●締めの効果は伝わりやすく表現する
の型を使うのが「ものづくり補助金」申請書では、良いかな! と思います。
総じて、””具体性に欠ける””とは、
あまりに抽象的すぎて、結局のところ、どこが当社の特徴的なところで、
どんな希少性を発揮し差別化を図っているのか、そこがはっきりしない。
だから、審査員も点数が付けられない。
ここは、何よりもしっかりと理解して下さい。
表現のしかたは、何かと比べてみることです。一例を示すと、””○○が当社の優位性です””
とはっきりと文末に記載することです。
ここが、「ものづくり補助金」申請書の陥りやすい罠です。
でも、課題を解決させる手段が設備投資で足りてしまったらどうでしょうか?
競合他社でも設備投資さえすれば同じことが出来てしまうでしょう!
そしたら、革新的でも何でもありません。
また、既に差別化の武器をもっており、設備投資さえすれば、更に効果が増幅するような
事業シナリオだったらどうでしょうか?
一昔はこれでOKだった時もありますが今は無理ですね。
設備投資だけで差別化が図れる生産性向上施策は実現できません。
「ものづくり補助金」は「革新的ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金です」
設備投資をすれば課題が解決できるような事業テーマでは目標が甘すぎます。
もっと高い目標を持って、それに向けて取り組むための、
設備投資+αの課題解決シナリオを描いてみましょう。
つまり、ものづくり補助金に必然的に採択されたいのであれば
『知的資産』の勝負です。
そして、これは高度な技術の構築を要するものではありません。
たゆまぬ情報収集とアイデアの創造で足りると思います。
☑債務超過、二期連続営業損失のため、財務リスクがある
☑競合他社との比較が具体的でない
☑どのようなユーザーにアプローチするのか分かる記入がない
☑収益性の具体的な内容がなく、抽象的である
☑市場調査不足である
☑事業の遂行体制が具体的でなく実現性が懐疑的に思える
☑取引先ニーズと価格設定に課題あり
☑経常利益、付加価値額の伸び率が2%程度で費用対効果はやや低い
☑事業化の過程が分かりづらい
オレンジ色の「財務状況が芳しくない」
「債務超過、二期連続営業損失のため、財務リスクがある」
特に、債務超過、二期連続営業損失(つまり継続赤字)ですと
債務超過解消、あるいは、黒字化が達成できた時点で
申請するしかないかも知れません。
これは、「ものづくり補助金」審査項目の、「最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか?」に引っかかってしまうからです。
また、最近体感していることが、青文字の「事業の遂行体制が具体的でなく実現性が懐疑的に思える」です。
ここは、
・ただ設備を導入すれば生産能力が増強できる
・過去から継続して実践している生産革新で生産性向上が図れる
あたりまえのように遂行できるが故に、
事業の遂行体制の記述が疎かになるケースは往々にあります。
ここは、要注意ですよ!
審査員からすれば、簡単に不合格のらく印を押せるからです。
それ以外の項目は、個々の落ち度だけでは不採択になるようには思えませんので
総合的な不備に起因したものと思われます。
重要なことは、採点配分が、「技術面」40点、「事業化面」40点、
「政策面」20点と、「技術面」と「事業化面」が同じ40点なのに、
「技術面」に注力しすぎるあまり「事業化面」が疎かになっている方が
あまりにも多いように感じます。
「技術面」に比べ記載事項の焦点がはっきりしないので「事業化面」に力を注ぎづらい
ことは良く理解できますが、ここは、「ものづくり補助金」申請書の
公募要領をよく読んでしっかりと記述しましょう!
わからないことございましたら、何なりと こちら よりお問合せください。
以下が、過去の採択者事業者の「事業テーマ」です。
◐シリコンウェハ用の高精度なキャリアホルダーの試作開発
◒CADCAM導入による生産性向上と在宅勤務活用による人材確保
◐子供目線のランドセル製造の生産性向上と女性雇用促進の両立
◒精密加工品質を保証する検査工程の構築
◐ 5軸M/Cを導入して新たなギヤ加工方法を確立する
◒最新の大型研削盤の導入による生産力強化および内製化システムの確立
◐CNC導入による高生産性の向上と事業承継のための技術の蓄積
◒防錆分野で需要が高い厚付け電気亜鉛めっきの量産技術の開発
◐最新包装機器の導入により製品包装工程の内製化
◒CAD導入による生産性の向上と技術承継
◐最新レーザー加工機等の導入による高精度・短納期生産体制の確立
◒ ○○装置の導入によるボトルネック工程の解消及び高品質体制の構築
直近の「ものづくり補助金」採択者の事業テーマの革新的要素を探ってみると、
「自社製品・サービス開発・事業化型」 「生産技術開発・生産・サービスプロセス改善型」
「内製化型」 「複数課題解決型」があることに着眼いたしましので、
以下に解説致します。
自社製品・自社商品、独自のサービスを持っていて、新製品・新商品を開発し事業拡張する会社は「革新的」な事業テーマが決めやすいです。
なぜなら、自助努力で売上拡大が仕組めるからです。
商品力を訴求することで革新性にも説得力が出ます。
それだけに、その商品・そのサービスは、確実に市場・顧客に受け入れられるものだ!
という証明が採否を左右します。
つまり、マーケティングです。これが、申請時点である程度完了しており、
事業の成功確度が高いことを明快に示せればしめたものです。
あとは、設備と人の生産能力の増強策と新製品加工プロセスの仕組みを作れば
事業シナリオのストーリーが描きやすいです。
生産技術開発・生産プロセスの改善もアイデア次第で競合との差別化や革新性
について充分に訴求力のあるテーマになります。
ただし、生産の合理化は求められていますが、省人化は好まれません。
なぜなら、「ものづくり補助金」では、雇用の増加による地域経済発展への貢献が求められているからです。
つまり、お客様の要求に応えることで受注が拡大し、その生産能力を確保する際に、
設備投資+生産技術開発・生産プロセス改善により、品質、コスト、納期(工期)の改善を図り、
併せて雇用も促進させるシナリオである、ことが重要なのでしょう。
一寸唐突かも知れませんが、内製化は最新設備の導入など仕組み方次第で、
品質、コスト、納期の改善が図れるので「ものづくり補助金」では使いやすいテーマです。
ただし、審査員からすると ””またか”” と思われやすいので、革新性を主張するには一工夫必要です。
たとえば、最新設備の導入と併せ内製ラインを一新するとか、広くサプライチェーンを見直し、
内製化を図ると同時に一部の作業をアウトソースすることで最適効率を図るとか、
作戦を練ることも必要でしょう。
広く考えれば、「内製化型」➢「サプライチェーン変革型」が適切かもしれません。
もちろん、真に効果があることが前提ですが・・・・
「ものづくり補助金」申請書のテーマ選定で、今回、一番着眼したのが複数課題の解決です。
例を見ても、生産性向上+在宅勤務・女性雇用促進とか、ハイブリッドな組み合わせで革新性を主張しています。
上述の、「生産技術開発・生産・サービスプロセスの改善」と「内製化」
もあるところ「複数課題の解決型」なんです。
肝心なのは、
「設備投資やシステム投資」といったハードの力と
「仕組み・ノウハウの構築」といった知的資産の拡充
の融合で勝負することです。
中小企業にとってオンリーワンの革新テーマなんて無理なことですしリスクが大きすぎます。
””これとこれをやって競合他社の一歩先を行く””
この、「複数課題解決型」で革新的事業テーマを企てることが好ましいと私は思います。
これこそが、各社にとって一番効果があることで、また、一番他社に模範となることではないでしょうか
事業計画書記述の要諦とは?
ポイントは、「ものづくり補助金」申請書における「革新的」のレベル感です。
よく言われている
①自社にとって革新的な取組でありこと
②それが相当程度普及していないこと
ここを押さえていただければ、と思います。
当然のことですが、””相当程度普及していない””ことを
取組み課題の『希少性』で表現できればGOODでしょう。
でも、大切なことは、儲けから逆算した生産・サービスの革新のストーリーを
描くこと、これに尽きます。
そして、それは前述の通り、
「設備投資やシステム投資」といったハードの力と
「仕組み・ノウハウの構築」といった知的資産の拡充
の融合で勝負すること、だと確信しています。
ここが、「ものづくり補助金」事業計画書の中で、革新的な事業開発について記述するところです。
① 本事業の目的・手段について、今までに自社での取組みの経緯・内容をはじめ、 今回の補助事業で機械装置等を取得しなければならない必要性を示してください。
また、課題を解決するため、不可欠な工程ごとの開発内容、材料や機械装置等を明確にしながら、具体的な目標及びその具体的な達成手段を記載してください(必要に応じ て図表や写真等を用い具体的かつ詳細に記載してください)。
事業期間内に投資する機械装置等の型番、取得時期や技術の導入時期についての詳細なスケジュールの記載が必要となります。
② 応募申請する事業分野(「試作品開発・生産プロセス改善」又は「サービス開発・新提供方式導入」)に応じて、事業計画と「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する 指針」又は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」との関連性を説明してください。
③ 本事業を行うことによって、どのように他者と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に説明してください。
概ね、この要求事項はここ数年変わっていません。
キーワードを青記させていただきました。
読んでみると、言っていることは何となくわかるが、
だから何を書いて良いのかまではわかりづらいのではないでしょうか
これが「ものづくり補助金」申請書作成の悩ましいところです。
結局のところ、みなさんの会社の事業内容や革新的事業テーマを訴える
シナリオによっていろいろと変わってきますが、汎用的な見出しを下記致します。
(1)事業内容
・簡単な『沿革』を経ての現在の事業内容
・お客様は誰で、お客様予備軍はどんなところか
・会社組織・パートナー
○主たる製品(加工品)の写真
(2)自社の強み
○形状的に示せるものがあればその写真
(最後に、ここ1~2年の業績と絡めて総括)
(3)顧客ニーズ
現行と今後の展望、顧客要求
(4)現状の問題点・課題
①品質・性能面、精度面の問題点
②生産能力・納期面の問題点
③コスト面の問題点
④マンパワー(人的能力)の問題点
➄受注、販売面の問題点
(5)現状の問題点を解決するための技術的課題
①設備を導入することによる解決課題
②その他の解決課題
Ⅱ 本補助事業取組み内容
(1)課題の解決方法
①設備を導入することによる解決方法
②その他の手段での解決方法
(2)具体的目標
①品質・性能面
②生産能力・納期面
③コスト面
④マンパワー(人的能力)
⑤受注、販売面
(3)「特定ものづくり基盤技術」「生産性向上のためのガイドライン」との関連性
(4)主な工程ごとのスケジュール
(5)実施の体制
(6)財務状態と資金調達の説明
ここは、その1で取り組んだものを、如何に一本立ちさせていくかの『事業化』
について記述するところです。
「ものづくり補助金」申請書は、ここをしっかりと書くことで事業の成功確度の
信憑性を伝えることができます。
① 本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性や現在の市場規模も踏まえて記載して ください。
② 本事業の成果の事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の 価格等について簡潔に記載してください。
③ 必要に応じて図表や写真等を用い、具体的かつ詳細に記載してください。
ここは、製造業者であれば、自社商品の製造業者か下請け業者かで変わってきますが
汎用的な記載事項を下記いたします。
(1)本事業の成果が寄与するユーザー、
マーケット及び市場動向
Ⅱ 本事業の取組による効果
(1)本補助事業の成果がもたらす効果、事業の展望
(2)事業化スケジュール
(3)売上計画
(4)地域経済と雇用の支援、従業員の賃上げ
(5)本事業の革新性、競争力強化の源泉
Ⅰ(1)の市場の動向は、統計資料、市場予測データなどを活用して具体的に記載しましょう。
①業界団体(例 ・・協会)の統計、
②経済産業省の統計、
③調査会社の統計(矢野経済研究所、野村総研、富士総研など)
④展示会出展社情報、民間企業のIR情報など
Ⅱ(1)の本補助事業の成果がもたらす効果については、
上述の「優位性等」をうまく引用することで、市場の伸び以上の売上拡大を
狙う論拠が示せたりもします。
差別化の程度によってはシェアアップの信憑性が訴求できるからです。
Ⅱ(2)の事業化スケジュールは、「本補助事業」の成果の刈取りと、
次期遂行テーマについて大局的な行動方針を示しましょう。
Ⅱ(3)の売上計画は、製品別、あるいは、顧客別作成しましょう。
また、(2)の事業化スケジュールとも連動させ、その根拠を示しましょう。
Ⅱ(5)の本事業の革新性、競争力強化の厳選を記載する意図は、
最後に総括をすることで、審査員に主眼点を印象付ける狙いからです。
ここは、数値目標に対するガイドラインを提示し、これを受けて策定した「付加価値」「経常利益」の根拠を求めているところです
① 会社全体の事業計画(表)における「付加価値額」や「給与支給総額」等の算出について は、算出根拠を記載してください。
② 本事業計画(表)で示された数値は、補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告等に おいて伸び率の達成状況の確認を行います。
留意点等は、後述の「会社全体の事業計画(数値計画)の留意点」をご参照ください。
革新的な事業テーマの掘り起し➢策定STEPについて
ここでまた、「ものづくり補助金」申請書ならではの『革新性』について振り返ってみましょう
●自社にとって革新的な取組であること
●それが相当程度普及していないこと
言い換えれば、””競争優位性=武器を作って新たな取組みを成功させること””です。
奇抜な事業テーマは、まさに、誰しもが思うような「革新性」かも知れませんが実現性で『大丈夫かな、無理そうだな?』と審査員に思われてしまいます。
より確実性のあるシナリオを描くためにも、
①今現在の「強み」を更に増幅させる、更に顧客要求の変化に呼応させる
②今現在の「強み」を事業に最大限に活かすために「弱み」を克服する
③眠ってしまっている今現在の「強み」を顕在化させ新たな市場に活かす
を整理してみましょう。
そのために、今の強みの棚卸をしよう(具体的に)
具体的な切り口は、VRIO分析の切り口で棚卸をするのが良いでしょう!
VRIOとは、以下の4つのワードで先頭スペールを並べたものです
これを、知っておくと、金融機関との会話にも拍車が付きますよ!
『Rarity』・・・希少なものは何か
『Imitability』・・・他社で真似ができないものは何か
『Organization』・・・強みを最大限に引き出す組織構造の工夫点は何か
まずは、『希少性』について探ってみましょう。
きっと、これがお客様から評価されていることでしょう。
お客様にとって価値のあることだから評価されるのです
。
『組織』や仕組みは、自社だけでなく、人脈、ジョイントベンチャー先との
パイプからも洗い出してみましょう
『模倣困難性』については、思い当たらなければ飛ばして頂いて結構です。
問題は、いきなりVRIOの要素を洗い出そうとするとなかなか出てこない、
出てきても「先入観念」が強く偏ったものしか出てこない、ことです。
まずは、
・お客様が誰で、いつから取引をしているのか
・どのような製品を製造しているのか、どのような加工をしているのか
・個別事業の開始と終息
・保有技術はどんなものか
・競合他社はどこか
・製造工程の流れは
このようなことを具体的に整理して、お客様や金融機関の方などとこれについて会話をして見てください。
きっと、思わぬ発見があるはずです。
ただし、聞き方に気を付けてください
単刀直入に聞いたって、まともに聞き入れてくれません
○○さんがうちのことを▽▽と言ってましたが、そう思われますか?
みたいに、まずは、Yes or Noで答えられるような
聞き方をして、その後にどんどん具体的な質問をしてゆくと良いでしょう
(ただし、ロビートーキングで)
これが一番、「ものづくり補助金」申請書の中で事業テーマを抽出するのに重要なところかもしれません。
まさに、事業課題を顕在化させるところでです。
今の強みが事業に活かしきれれば充分に他社との差別化が図れますよね!
たとえば、こんな切り口をヒントに探し出してみてください
①「○○の強み」で△△の顧客と深耕を図っており、その中、
顧客から◇◇の引き合いがあるものの最新装置でないと製造できない。
②○○について、近隣ではうちを含め2社しかその製造技術を持っていないが、
今はその需要がない
③設備投資でマシン能力は増加するが、匠の技が伝承されていく組織的な活動がなされていない
この問題点・課題に気付くには同業者の「知的資産報告書」
を参照するのが有効です。
強みを増幅させる業務改革のストーリーが刻銘に描かれていますので
参考にはなると思います。
ここは、事業課題をより訴求力の高いものにするパートです。
まず先に、「売上拡大」を持ってきたのが、「コスト削減のテーマ」でも
売上拡大について触れなければいけないからです。
””生産合理化を徹底し、従来20人で行っていた作業を17人で行えるようにした””
この内容だけでしたら、まず「ものづくり補助金」は『不合格』になってしまいます。
なぜなら、生産性向上を大義としていながら「補助対象事業の要件」で以下のように「雇用の支援」=給与支給総額アップを促す意図が示されているからです。
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。
・事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30 円以上の水準にする。
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。
また、給与支給総額の上昇は前述の通り加点項目でもあります。
従って、上記の例に沿いますと
●生産合理化を促進することでコスト競争力を更に強化する
↓このコスト競争力と顧客より提案のあった○○新加工の取込みにより「売上高1.5倍化」に取り組む
↓これにより従業員が20名➤30名必要になるところを、今回の生産合理化取組みにより25名に留める
そうです、5名の増進阻止を図るものの5名は雇用の促進を図るのです。
当然のことですが、「ものづくり補助金」の申請において必須事項です。
そして、お客様や市場の成長で売上が伸びる書き方では消極的すぎます。
自社の希少価値が奏功し市場の成長に呼応できること、
新製品・新サービス、新技術の開発などで需要をキャッチアップできること、
などを能動的に記載しましょう。
一寸、前置きが長くなりましたが、売上拡大策を卒なく申請書に書き込むために
前述の「マーケティングの4P」に目を向けシナリオを作ってください
この4Pとは、「Product(商品・製品)」「Price(価格)」{Place(販路、顧客層)」「Promotion(広告宣伝)」の4つのワードの頭文字のPをとって4Pと呼称しています。
売上拡大策については、必ず、この4つの切り口を網羅して書き込んでいただきたいと思います。
これを言いたいのは、自社製品・サービスを製造・提供している方だけではありません。
下請事業者様も同様です。
●新製品・新商品の利便性(他社比較)
●要素技術、プロセス技術の独創性(要先行技術調査)
●プロダクトMix(製品構成)の改善⇒高収益品↗ 低収益品↘
●量産技術、量産体制構築(サプライチェーンマネージメント)
知覚価格、市場価格などを鑑み、最大の値付けができる商品開発・改良、
加工精度の創造と市場(顧客)の開拓
●販路:直販or商社経由、
●顧客層:既存顧客、新規顧客予備軍の明快な定義(○○を求める顧客)
お客様が必要とする理由、お客様が当社を選ぶ理由
●展示会・マッチングフェア出展
●プレゼンツールの整備(ドキュメント、サンプル製作など
「ものづくり補助金」の補助経費の主体は設備投資・システム投資です。
ですから課題解決の手段として、設備・システム投資の効果を書き込まなければなりません。
でも、これだけでは合格しません。なぜなら、他社も設備・システムを導入し
同様のことをしたら差別化にならないからです。
参考例として、以下の切り口もご参照ください。
●協力会社委託➤内製化
●内製はコアに集中➤その他をアウトソーシング
・・・Q(品質)C(コスト)D(納期)の経営課題が明確化、さらに管理面の課題も、
つまり差別化が打ち出しやすい
内製化をテーマにする方は結構多くおられます。
内製化は効果が相応に出やすいので取り組みやすいテーマですが、
採択されるためには革新的要素が一味必要です。
ですから、抜本的にサプライチェーンを見直すことで、内製化のみならず、逆に、
アウトソース化も促進し経営資源を集中させることも検討してみたら如何でしょうか
●生産性向上とワークライフバランス
●生産性向上と働き方改善
●生産性向上とIT導入での生産進度の見える化
などです。
また、最近ではIoTの活用をテーマにされる方がいますが、その効果がどのくらいか
ここがポイントになりますし、生半可なごくあるセンシング技術だけでは、もう「革新的」
と見てくれません。
サブテーマだったら良いのですがメインテーマの場合には一考を要します。
理由は、前述の通り、設備投資の効果だけでは差別化にならないからです。
そこで、設備投資の効果だけに依存しない課題解決方法について以下に示しますのでご活用下さい。
●なぜ、この装置・この型式が必要なのか
特に、最新モデルの投資の場合はしっかりと書きましょう
逆に、最新モデルである必要が無い場合には、その旨を記載し
投資コストを押さえる方針であることをしっかりと示しましょう
よく、””最新モデルの設備なので○○の工程が不要となり◇◇時間の削減が図れる””
と、””これだけを””書かれる人がいます。
この書き方で意図は通じます。悪くないかもしれません。でもこれだけでは
頭一つ抜き出ることはできません。
””最新モデルの設備なので○○の工程が不要となり◇◇時間の削減が図れる””
””このマシンタイムの削減と併せ、人的作業も○○を改善することにより
ヒトとモノの同期化が図れサイクルタイムが短縮し、1時間あたりの出来高が
○○%アップする””
このように書けたら良いと思いませんか
●最新設備の力
●人的効率の改善
●工程プロセス(ノウハウ)の改善
まさに、設備の力に依存しない「生産性向上計画」だからです
それから、設備投資や人的作業の改善を行い生産能力を向上させても、
売上増加の諸施策と連動しなければ会社の利益に繋がりません。
「ものづくり補助金」申請書では、売上増加のシナリオを描くことは必須事項です。
そのために、
●お客様の利益に繋がることをする
●お客様のお悩みを解決する
●お客様の要求事項を真っ先に実行する
の要素を洗い出しましょう
これらが組み合わさることによって、「設備投資の効力」が『他社との差別化戦略』に繋がってくるのです。
「ものづくり補助金」申請書は大きく、
事業の具体的な取組み内容を示す
「補助事業計画」と
将来の展望として補助事業の成果を刈取り、
売上高・利益を増大させていく「事業化計画」
とに分かれます。
そして、この「事業化計画」は3~5年間のスパンで書きなさい、と要求されています。
でも、あまり、神経質になることはありません。以下のような形で表現できれば
宜しいかな、と思います。
「事業化計画」「売上計画」ともに下欄に一口コメントを入れておきましょう
要求されている様式を見てみましょう
そうです。「売上高」の下がいきなり「営業利益」になっています。下に「減価償却費」と「人件費」の
項目がありますが、「売上高」⊖「総費用」=「営業利益」で出しなさい、とまで要求はされていない
ようです。
でも、「公募要領」の「その3 会社全体の事業計画」で(会社全体の事業計画表)における「付加価値額」「給与支給総額」等の算出については、算出根拠を記載してください
と書かれています。
「ものづくり補助金」はコンペですから作って少しでも優位に戦うために、
以下の様式で収益構造を整理しておくことをお勧めいたします。
申請書記載の雑知識、記載漏れ撲滅策
① 大いにオーバーラップさせましょう。
すでに前のところで書いたから、
ここで書いても意味がない、と思わないでください。
審査員は申請書を読んでいる過程で前に読んだことを
ドンドン忘れていってしまいます。重要なところは何回でも書きましょう
② 数字をしっかりと示し比較をしましょう
③ 「革新的」「差別化」の文言を必ず入れましょう。
凹凸がないと審査員も何が革新的なのか、ど
こで差別化をしているのかわかりません。
以上が・・・だから当社、業界にとって革新的である。・・で〆ましょう。
④ 章題と記事のフォントを変えましょう。
章題を目立たせることで、「何を」言っているのか多少わからなくても、
「何について」言っているのか、がわかるからです。
⑤ 論理破綻を避けましょう。
10枚程度の資料になりますので、途中で横道に逸れがちです。
事前に骨組みをしっかりと整理しておきましょう。
特に、冒頭の「事業計画名」や「事業計画の概要」と
その後に記述する事業計画の内容とをしっかりと整合させましょう。
前回不採択だった方の振り返り
残念ながら、前回のものづくり補助金、採択が侭ならなかった方へ その原因追求し次回の糧にするために、一寸、「振り返り」をしてみませんか。
また、次回初めて応募される方にも有益な情報と思われます。
是非、以下の問いかけに答えてみてください
●社長の私自らが作成した
●従業員と私とで作成した
●私と従業員が主になってシナリオを考案し、専門家に代筆を依頼した
●専門家の指示に従い、適正な情報を当社から提供し、専門家に代筆を依頼した
●全て専門家任せ
●経営者セミナーに参加し、そこで得たノウハウをもとに作ったことがある
●融資の際に金融機関から提出してくれと言われ、金融機関の指示に従い作ったことがある
●他の補助金申請の際に作ったことがある
●前職のサラリーマン時代に作ったことがある
●作ったことは無い
●①東京都、埼玉県などの地域事務局の説明会に参加した
●①には参加しなかったが、商工会議所、商工会などの団体が主催するセミナーに参加した
●①の他に、商工会議所、商工会などの団体が主催するセミナーに参加した
●①には参加しなかったが、税理士などの士業が主催するプライベートセミナーに参加した
●①の他に、税理士などの士業が主催するプライベートセミナーに参加した
●説明会に参加し、要点を押さえたうえで読み返し、不明な点は事務局などに確認した
●公募要領を読もうとしたが、ページ数が多く、解釈が難しいところあり部分的にしか読んでいない
●専門家に任せているので公募要領は読まなかった
●締切日の3ケ月以上前から
●締切日の2ケ月前から
●締切日の50日前から
●締切日の40日前から
●締切日の30日↓前から
●わかりやすく、かつ、具体的にある程度書けたと思う
●わかりやすく書けたと思うが、抽象的な表現のところが多かった
●具体的に書いたつもりではいるが、わかりづらい部分が多々あった
●専門家は、わかりやすく、かつ、具体的に書けたと言っているが私には良くわからない
●わかりづらく、かつ、抽象的な表現だった
●「記載例」「記載の手引き」などを参照し、もれなく記載した上で最終確認もした
●「記載例」「記載の手引き」などを参照し、もれなく記載したつもりだが最終確認はしていない
●専門家に任せたので大丈夫だと思う
●特に意識はしていなかった
●確認をした
●教えてくれることを知らなかったので確認できなかった
●教えてくれることは知っていたが確認はしていない
●自社でしっかり読んでポイントを掴んで記述した
●支援専門家と事前に当該ページについて調整し、章題(見出し)とその骨子を整理し共著した
●当該ページを自身では読んでいない。支援専門家にお任せで、聞かれたことについて記事を提供した。
①現在の事業内容 ②自社の強み ③業績解説
④顧客ニーズの変化等顧客の動向 現状の問題点・課題
⑤問題点・課題解決のための技術的施策
⑥課題の解決方法 ⑦解決後の具体的目標
⑧「特定ものづくり技術」との関連性
⑨主な工程ごとのスケジュール
⑩補助事業の実施体制
⑪財務状態と資金調達方法
⑫当社の優位性・本補助事業の革新性
●全て
●10~11ケ(⑥⑧⑫は記載)
●10~11ケ(⑥⑧⑫のうち1つでも未記載あり)
●9ケ以下(⑥⑧⑫は記載)
●9ケ以下(⑥⑧⑫のうち1つでも未記載あり)
●具体的に記述した
●記述はしたが具体的とは言えない
●実質、機械設備の効力に依存
●自由にお答えください
●現状の競合他社との比較を項目ごとに定量的示し、かつ、本補助事業完遂後の優位性についても具体的に記述した
●現状の競合他社との比較を項目ごとに定量的に示したが、本補助事業完遂後の優位性については記載しなかった
●当社の優位性は示したが数字では示していない。
●特に優位性については記載しなかった
●市場規模を経済産業省のデータより引用し、自社で市場予測を行い、これに基づき当社の取組施策を記載した
●ネットや専門誌より今後の市場予測データを入手し、これに基づき当社の取組施策を記載した
●市場予測データを示し、伸長が期待できることのみを記載した
●市場の情報などを用いての事業環境について、特段の記載はしなかった
●本補助事業の完遂、今後のアクションテーマの要点を時系列にガントチャートにまとめ、今後の事業化計画を示した。
●今後のアクションテーマは列挙したが時系列的には示していない
●特段、事業化計画は記載していない
●Q15の事業化スケジュールと同期化させ、製品別、あるいは、顧客別売上計画を記載
●製品別、あるいは、顧客別売上計画を記載したが、Q15の事業化スケジュールと同期化しているとは言い難い
●製品別、あるいは、顧客別売上計画を記載していない
●5点満点中何点かをお答えください?
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