ものづくり補助金『19次締切分』の要所を解説
みなさんこんにちは、坂本経営事務所代表の坂本です。
令和7年2月14日に「ものづくり補助金 19次締切分」の公募が開始されました。
18次締切分と比べ、「省力化(オーダーメイド)枠」がなくなるなど幾多の改定が施されました。
また、事業計画書の記載要領や審査項目について、論点はほとんど変わっていないのですが、
「言い回し」や「見出し」の表現を改め、強調点を、よりくっきり示したように伺えます。
具体的には、「経営面」「事業面」における革新性の視点が強調された感じです。
つまり、”単に設備投資・システム投資がしたい、行動テーマが設備投資・システム投資オンリー
のような事業計画書では『採択』はさせないぞ! といった出す側の意図が色濃く伺えるようになりました。
それでは、「ものづくり補助金 19次締切分」の『製品・サービス高付加価値化枠』についてのみ、要所を解説してまいります。
目次
注意喚起
■本補助事業により取得等した財産については、原則として専ら本補助事業に使用される必要があります。本補助事業以外で用いた場合、目的外使用と判断し、残存簿価相当額等を国庫納付いただく必要がございますのでご注意ください。
・「GビズID」を他者に貸し出すとは、
申請者ご自身が「GビズID」はおろかパソコンの操作自体ご自身ではできない、
といったときに、支援者に「GビズID」とパスワードを教えて、
申請者ご自身のSMSに届いたワンタイムパスワードを支援者に教え、
支援者がこれらの情報から代理申請を行う、といったケースが大半だと思います。
効率は落ちますが、このようなケースでは、支援者に横にいていただいて、
教わりながら申請者自ら申請作業を行うことが肝要と思われます。
・「本補助事業以外で用いた場合、目的外使用と判断される」
「ものづくり補助金」では、今回初めてこのようなお触れが発せられました。
「事業再構築補助金」のケースでは、少しでも既存事業に活用していたら補助金の返還、
といった重い処罰を受けることになっています。
今後、事務局HPの「よくある質問」に具体的な見解が示されるか確認していきましょう!
第18回公募との変化点
申請枠が絞られました
上図の通り、第18回公募から
①省力化(オーダーメイド)枠が廃止となりました。
こちらは、「省力化補助金(通称)」に移行ということになったのでしょうか
②製品・サービス高付加価値化枠が一本化しました。
たぶん、DX、GXといった「成長分野進出類型」を特別扱いしないで
「通常類型」の枠組みで運用するのだと思います。
後述の通り、補助上限額は高い方の「成長分野進出類型」に、概ね、従っています。
③グローバル枠はそのまま継続です(ただし、本サイトでは解説してはございません)
賃金の増加要件が改訂されました
こちら、後述の「基本要件」をご参照ください。
事業計画書の登録方法が変わりました
18次締切分までは、
本文・図表を含めA4サイズ10枚を目安に添付書類としてPDF版で登録していました。
19次締切分より、
本文は、電子申請システムへ入力、図表は、A4サイズ3枚を目安に添付書類としてPDF版を登録、となりました。
審査員に伝わりずらくなる反面、公募不適格の「過去又は現在において提出された、他の法人・事業者と同一又は類似した内容の事業」の電磁的検証がしやすくなるメリットもあるのかもしれません。
事業計画書の記載要領・審査項目の言い回しが変わりました
前述の通り、
事業計画書の記載要領や審査項目について、論点はほとんど変わっていないのですが、
「言い回し」や「見出し」の表現が改められ、強調点が、より鮮明になりました。
具体的には、「経営面」「事業面」における革新性の視点が強調された感じです。
つまり、”単に設備投資・システム投資がしたい、行動テーマが設備投資・システム投資オンリー
のような事業計画書では『採択』はさせないぞ! といった「出す側」の意図が色濃く伺えるようになりました。
口頭審査の実施時間が延長されました
18次締切分までは15分でしたが、19次締切分より30分に延長されました。
何となく30分でも短い気がしますが、審査員の消化能力と対象件数からすると30分が妥当な線かもしれません。
事業の目的
事業の目的とは、○○のようなことを遂行してくれる方にこの補助金を出しますよ!
と言っているところですから、概念として押さえておきましょう!
・まずは、第18回公募まで明文化されていた『生産性向上に資する・・・・「生産プロセスの省力化」』
が削除されました。
そうですね、「省力化(オーダーメイド)枠」がなくなったことからも当然かもしれません。
・キーワードは革新的です。
自社にとって革新的な取り組みというだけでは要件を満たしません。
つまり、同業者内で相当程度普及していない開発・事業化が必要となります。
・さらに、「新製品、新サービス」が既存製品やサービスとはある程度異質なものであることが必要です。
理由は、既存事業でも使えてしまうような装置・システムの導入は要件を満たさないからです。
補助事業の流れ

こちらを読むと、第一段階の申請作業は、
・公募開始:2025年2月14日(金)17:00~
・申請開始:2024年4月11日(金)17:00~・・・電子申請が可能となる日
・申請締切:2024年4月25日(金)17:00まで
となっています。
本日が2月19日ですからまだ2ケ月超あります、ではなく、2ケ月ほどしかないと考えてください。
理由は、事業計画書の記載事項や審査項目が高度化しているからです。
日程はかなりタイトとみてください!
補助対象者
ほとんどの方は「A)」に属する中小企業者(含む小規模企業者、小規模事業者)に該当すると思われますので
下表をご参照ください。
その他組合関連、NPO、社団法人等の特殊法人や中堅企業、出資割合等から実質大企業と見做される
法人等細部にわたり定義化されていますので、必ず公募要領6~13ページ目ご参照ください。
また、企業結合等で気になる組織形態である方は必ず事務局にお問合せください。
それから、注意事項です
①申請時に虚偽の内容を提出した事業者
②事業の遂行に主体的でないと判断される事業者。G ビズ ID を他者に貸し出す、他者が取得した G ビズ ID
を使用する、事務局との窓口担当者を外部支援機関等に任せる等の行為は主体的でないとみなします。
①は当然です。
②の事業の遂行に主体的でないと判断される事業とは、事業計画書を専門家に丸投げしているような方です。
これは論外ですし、きっと実態と異なる実現性の薄い内容が盛られた事業計画書が専門家主導で
作り上げられてしまうことでしょう。これを、中小企業庁や事務局では認めておりません。
また、GビズIDの件については、冒頭の「注意喚起」えで述べた通りです。
『製品・サービス高付加価値枠』のあらまし・要件
『製品・サービス高付加価値化枠』の概要
※ 革新的な新製品・新サービス開発とは、顧客等に新たな価値を提供することを目的に、自社の技術力等を活かして新製品・新サービスを開発することをいいます。
本補助事業では、単に機械装置・システム等を導入するにとどまり、新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象事業に該当しません。
また、業種ごとに同業の中小企業者等(地域性の高いものについては同一地域における同業他社)において既に相当程度普及している新製品・新サービスの開発は該当しません。
①革新的な新製品・新サービス開発とは、「顧客等に新たな価値を提供すること・・・・」
「・・・・新製品・新サービスの開発を伴わないものは補助対象事業に該当しません」
ここから解釈すると、自社ブランド品の製品開発に限らず、下請け事業者にも使える補助金
のように理解しました。
ただし、前述の通り、導入設備等が、既存事業に使っては(使えては)いけないので、
既存の受託作業には存在しない、新たな(ほぼ異質な)工程の構築(開発)あたりかな? と考えます。
②「相当程度普及している新製品・新サービスの開発は該当しません。
「相当程度」というものに物差しはございません。あくまで、審査員の裁量に委ねられるところです。
個人的には、開発テーマに競争力強化に資する明快な差別化要因があれば、「相当程度普及していないもの」
と受け止めています。
基本要件
補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、事業者全体の付加価値額の年平均成長率(CAGR)を 3.0%以上増加させること。
②賃金の増加要件 【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、従業員(非常勤を含む。以下同じ。)及び役員それぞれの給与支給総額の年平均成長率を 2.0%以上増加させること、
または、
【従業員及び役員それぞれの 1 人あたり給与支給総額の年平均成長率を事業実施都道府県における最低賃金の直近 5 年間(2019 年度を基準とし、2020 年度~2024 年度の 5 年間をいう。)の年平均成長率以上増加させること。
③事業所内最低賃金水準要件 【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
補助事業終了後 3~5 年の事業計画期間において、事業所内最低賃金(本補助事業を実施する事業所内で最も低い賃金)を、毎年、事業実施都道府県における最低賃金より 30 円以上高い水準にすること。
④従業員の仕事・子育て両立要件(従業員数 21 名以上の場合のみ)
「次世代育成支援対策推進法」(平成 15 年法律第 120 号。以下「次世代法」という。)第 12 条に規定す
る一般事業主行動計画の策定・公表を行うこと。
②の「賃金の増加要件」が改訂されました。
給与支給総額の増加については、第18回公募までが、年平均成長率1.5%増加であったものが
2.0%増加とハードルが高くなりました。
ただし、給与支給総額の年平均成長率が2.0%以上増加しなかった場合には、
従業員及び役員それぞれの 1 人あたり給与支給総額の年平均成長率が、
事業実施都道府県における最低賃金の直近 5 年間(2019 年度を基準とし、2020 年度~2024 年度の 5 年間をいう。)
の年平均成長率以上増加していれば、これでOKということです。
ちなみに、東京都の場合は、2019年の最低賃金が、1,013円、2024年の最低賃金が1,163円 増加率14.8%
これを5年間の平均に焼き直すと2.72%の増加となります。
したがって、
・事業実施場所が東京都であり、
・給与支給総額の年平均成長率が2.0%に満たなくても
・今後、事業実施期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率が
2.72%以上であれば要件を満たすことになります。
たとえば、導入設備の力や諸改善により省力化が図れ、退職者補充をしなかったことで
給与支給総額が下がった。
ただし、労働分配率を向上させ、一人当たり給与支給総額をガイド値にまで引き上げるた。
こんなことが一例としてあるでしょう!
④の「従業員の仕事・子育て両立要件」とは申請時までに、次世代法に基づき一般事業主行動計画を策定し、
仕事と家庭の両立の取組を支援する情報サイト「両立支援のひろば」に策定した一般事業主行動計画を
公表することです。
基本要件未達の場合の補助金返還義務
3~5 年の事業計画期間最終年度において、給与支給総額目標値又は 1 人あたり給与支給総額目標値のいずれの目標値も達成できなかった場合、補助金交付額に達成度の高い目標値の未達成率を乗じた額の返還を求めます。
⇒ただし、付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として 3~5 年の事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金の一部返還を求めません。
【事業所内最低賃金水準要件が未達の場合】
3~5 年の事業計画期間中、毎年 3 月末時点において、事業所内最低賃金目標値が達成できなかった場合、補助金交付額を事業計画期間の年数で除した額の返還を求めます。
⇒ただし、付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として当該事業年度の営業利益赤字の場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、上記の補助金の一部返還を求めません。
①返還金額の算定方法が変わりました。
第18回公募までは、残存簿価あるいは時価相当でした。
第19回公募からは、給付された補助金額に未達成率を掛けて出すようです。
例えば、補助金額:500万円、 給与支給総額年平均成長率:1.8% 同目標値:2.0%
とすると未達成率は、1-(1.2÷2.0)で40%となり、返還金額は200万円となります。
どうやら、だいぶ厳しくなった様相です。
②返還を求めない定義の一部が変わりました。
付加価値が減少しただけでは駄目、その結果として計業赤字に陥ったら返還するのをやめましょう!
といった具合になりました。
つまり、労働分配については相応の誠意を見せなさい! ということではないでしょうか!
一見、「補助金の返還」といった文言はものづくり補助金の申請を躊躇してしまいます。
重要なことは、経営者として従業員に本要件に見合った処遇の改善を約束する気が本当にあるかどうかです。
他方、これらは従業員に表明しなければなりません。
『製品・サービス高付加価値化枠』の補助上限額
赤枠内が、従業員数に応じた補助上限額の明細です。
そして、これは第18回公募までの「成長分野進出類型」の水準を、概ね、踏襲しております。
これに加え、「大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例」を適用し申請し、
当該要件をクリアすれば、薄黄色枠をまで補助上限額が引き上げられます。
当該要件につきましては、後述してございます
『製品・サービス高付加価値化枠』の補助率
上表に示す通り、原則、中小企業者の補助率は1/2です。他と比べ、一寸、寂しい感じがします。
ただし、「最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例」を適用し申請し、
当該要件をクリアすれば、薄黄色枠をまで補助上限額が引き上げられます。
また、本特例措置を適用する場合、上述の基本要件中の「③事業所内最低金水準要件」が
後述する「最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例」に置き換わることになります。
補助事業実施期間
こちらは、交付決定日から 10 か月(ただし採択発表日から 12 か月後の日まで)となっています。
先ず押さえたいのが、「交付決定」ということです。
これは、採択された後、見積書等補助対象経費の明細を整備したり、加点のエビデンスを整備したり、
事業計画書を修正するなどの「交付申請」を行います。
これを事務局が精査し補助金額等が決定されます。これが、「交付決定」です。
これら一連の作業を円滑に行うことが肝要です。
特例措置要件
大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例適用要件 【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
こちらは、補助上限額をさらに上乗せしてほしい方にとってありがたい特例です。
ただし、上述の基本要件に記載の「給与支給総額の増額」と「事業場内最低賃金+α」について
さらに。ハードルの高い要件が設定されています。 それでは、以下をご参照ください。
●基本要件の事業所内最低賃金基準値に加え、更に+20 円(合計で+50 円)以上の目標値(以下「特例事業所内最低賃金目標値」という。)を申請者自身で設定し、交付申請時までに従業員等に対して表明のうえ、毎年、特例事業所内最低賃金目標値を達成すること。
● いずれか一方でも目標値が達成できなかった場合、補助金返還を求めます。また、従業員等に対して設定した目標値の表明がされていなかった場合、交付決定取消し、補助金返還を求めます。
つまり、こんな具合です。
①事業場内最低賃金は、他方で、離職者僅少化を図る上ではやむを得ない基準値かもしれません。
給与支給総額は、5年計画であれば、基準年度から事業計画終了年度にかけて34%以上アップ(複利)
させねければなりませんので、決して易しい目標ではないかもしれません。
②これも、基本要件と同じように未達の場合は補助金の返還が発生します。詳細は次章ご確認ください。
大幅な賃上げに係る補助上限額引上げの特例適用要件が未達の場合
②なお、未達成率については、いずれの目標値も達成できなかった場合は達成度の高い目標値の未達成率を採用し、いずれか一方の目標値が達成できなかった場合は達成できなかった目標値の未達成率を採用します。
③ただし、各補助対象事業枠の補助上限額との差額(補助上限額引上げ額)を除く部分については、付加価値額が増加しておらず、かつ企業全体として 3~5 年の事業計画期間の過半数が営業利益赤字の場合や、天災など事業者の責めに負わない理由がある場合は、補助金の一部返還を求めません。
①については、補助上限額引上げ額の返還は勿論のこと、さらに、「製品・サービス高付加価値化枠」の
上限額の部分の返還もある、ということです。
つまり、基本要件の、給与支給総額年平均伸長率:2.0%と最低賃金⊕30円はクリアしていても
本特例要件の、給与支給総額年平均伸長率:6.0%、あるいは、最低賃金⊕50円のいずれかが
未達であった場合、ダメージが大きいですね!
それでは、仮定の条件から定量的に検証してみましょう
最低賃金引上げに係る補助率引上げの特例適用要件
当該要件とは
2023 年 10 月から 2024 年 9 月までの間で、3 か月以上、補助事業実施場所で雇用している全従業員のうち、事業実施都道府県における最低賃金+50 円以内で雇用している従業員が 30%以上いること です。
これであれば、かなりの中小企業が対象となり、補助率が1/2から2/3に引き上げられる気がいたします。
製品・サービス高付加価値化枠」の補助対象経費
補助対象経費の大要は以下の通りです。詳細は、公募要領20~26ページをご参照ください

事業計画書への記載事項
記載に関する留意点
②申請にあたっては本文を電子申請システムへ入力し、その補足となる図や画像を番号を振ることで本文と連携させて A4 サイズ3ページ以内の PDF にまとめ、提出してください。記載の分量で審査するものではありません。
③「製品・サービス高付加価値化枠」については、生産性向上に資する取組を行うにあたって、年収 350 万円以上の正社員(無期雇用)を新たに採用する場合は、厚生労働省所管の「産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)」(以下「本助成金」という。)を併給できるケースがあります。
①は特段コメントはございません。
特に、書面審査項目を外して事業計画書を作成したところで点数は入りません。
また、専門家に代筆していただき立派な事業計画書を作成しても、申請者であるみなさんの
腑に落ちたものでなければ「口頭審査」でボロが出てしまいます。
そもそも、専門家の代筆はご法度です。
②がポイントです。
第18回公募までは、本文と図表を合わせてA4サイズ10枚以内ということでした。
第19回公募から、本文は、電子申請システムへ入力、図表は、A4 サイズ3ページ以内の PDF
にまとめ提出、 ということになりました。
図表と本文の記事のバランスを取りながら作成する必要が無くなったことで、
効率的に作成できるのは良いことですが、反面、審査員の負担は増えます。
審査員に理解しやすく紐づけることが必要かもしれません。
③「産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)」については コチラ ご参照ください
事業計画書作成のポイント
それでは、個々に解説してまいります。
ご理解いただきたいのは、ビジョンが表立った「お花畑」の事業計画書では審査員の好感度は得られません。
さらに、その根拠が空論だったり、そもそも記述されていなかったら、かなりの確率で「不採択」となるでしょう!
ここで言う外部環境とは、市場の動向、消費者ニーズ、法令改正、技術革新などを指し、自社にとって好都合であれば「O:機会」、逆に、悪影響をもたらすものは「T:脅威」と位置付けます。
内部環境とは、人材能力、組織力、ブランド力、技術力、ノウハウの蓄積といった知的資産、そして機械装置装備率、といった有形資産の充足度を指し、競合他社との比較やお客様の評価から、自社の優位点を「S:強み」、逆に、自社の劣後点を「W:弱み」と位置づけます。
これらを分析することを「SWOT」分析と言います。これが、一番、具体的に説明しやすいと思います。
以下を参考にしてください。
大体の方は、「S:強み」が活かせる「O:機会」を探り、中長期的なビジョンや目標を企て、
これを実現させるために、足りないものを克服する「課題」を顕在化していきます。
ここで言う「課題解決策」は、同業者内で相当程度普及していない開発・事業化に取り組むものでなければなりません。
そのためには、設備の力に依存せず、知的資産の高度化にも取り組まなければなりません。
ここは、特段、コメントはございません。これに従い、記述してください。
革新性とは、差別化が図れる源泉と考えてください。差別化が図れる製品・サービスであれば、
相当程度普及してはいないでしょう!
前々から思っていることですが、変な日本語ですよね! 私見を述べさせていただきますと、
具体的なユーザーは誰で、その方が受け入れてくれる価格であること
性能面でも満足されるものであること、を示したうえで、
本事業テーマである開発製品・サービスを取り巻く市場規模がどのくらいであり、
当社のシェアを鑑みても十分なものであること、を証明してください
と問われているのだと考えます。
本事業の成果の事業化見込みとは、単純に、開発製品・サービスの事業で儲けが得られることを示す「中期計画」を作ることです。
そして、売上高・利益計画以外にも、それを成し遂げるためのアクションプラン(何をするのか?)を記述することが肝要です。
キーワードは「算出根拠」を示す、ことです。これを単純に言えば、求めた答えの「計算式」を示すことです。
書面審査
ここからは、書面審査項目について私見をコメントさせていただきます。
補助事業の適格性
これはもう、当たり前のことですのでコメントは割愛させていただきます。
経営力
②市場・顧客動向を始めとした外部環境と、自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)等にかかる強み・弱みの内部環境を分析したうえで事業戦略が策定され、その中で、本事業が効果的に組み込まれているか。会社全体の売上高に対する本事業の売上高が高い水準となることが見込まれるか。
①については、事業計画書の「冒頭」で経営目標を記載すると良いでしょう!
たとえば、売上高・利益目標だとか、新規開発品事業化における技術水準、
人的資源のスキルアップ度などです。
②については、前述の「事業計画書作成のポイントーその2」をご参照ください。
事業性
②本事業の課題が明確化され、課題に対する適切な解決方策が示されているか。
③本事業により提供される新製品・新サービスの対象となる市場の規模や動向の分析がされているか。当該市場は今後成長が見込まれるか。
④本事業により提供される新製品・新サービスが顧客に与える価値は何か。顧客ターゲットが明確か(顧客の特徴(属性・商圏等)が具体的に特定できているか)。顧客ニーズの調査・検証がされているか(対価を支払ってでも本事業により提供される新製品・新サービスを選択したいと考える顧客がどの程度存在するか)。本事業により提供される新製品・新サービスが顧客から選ばれる理由を理解しているか。
⑤本事業により提供される新製品・新サービスと競合する他社製品・サービスや代替製品・サービスに関する分析がされているか。競合する他社製品・サービスや代替製品・サービスに対して、本事業により提供される新製品・新サービスは差別化がされ、優位性を有しているか。
①については、相当程度普及していない製品開発の実現可能性が高いか、
こういったことが問われています。
現在の進捗の中で、実現見通しが立っているその根拠を明快に示せればGOODです。
③については、ChatGPT4.0有料版を上手く使いこなすことで容易に情報が取れると思います。
④については、赤字部の新製品・新サービスが顧客から選ばれる理由がしっかりと訴求できれば、
何ら問題はありません。
当然、他社と比較しても優れていることでしょう!
ただ、自社では、お客様から選ばれている抽象的な解しか把握できていないことが常です。
思い切って、お客様にロビートーキングの場などでその原因を確認してみましょう!
⑤については、開発新製品・サービスについて、お客様に買ってもらうために、
どのようなプレゼンを定性的・定量的にしようとしているのか、これを明快にしましょう!
これが、素直な発想だと思います。
実現可能性
②本事業に必要な社内外の体制(人材、専門的知見、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、本事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な資金調達が見込まれるか。
③本事業の事業化に至るまでの遂行方法、スケジュールや課題の解決方法が明確かつ妥当か。
④本事業は投入する補助金交付額等に対して、想定される売上・収益の規模等の費用対効果が高いか。また、本事業の内容と補助対象経費とが整合しており、費用対効果が明確に示されているか。
①について、必要な技術力をゆうしているか? これについては、「現有技術と今後拡張させるべき技術」
を併記することで、なんとなく話が繋がってくると思います。
また、当該技術力が競合する他社と比較してより優位な技術力か?
これが、お役人が作る審査項目の典型です。いかにも、現状がどうかを聞いているように伺えます
個人的には、「現有技術と今後拡張させるべき技術」が他社と比較して優位となり得るものか
こちらのほうが大事だと思いますし、審査員も同様と思います。
②については、新たな新製品開発項目とその後充足させる事業化項目を顕在化させ、その遂行者が誰なのか!
これを明快にすれば十分だと思います。
なぜなら、審査員が遂行能力に関する通信簿なんて作れないからです。
政策面
②ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。
③先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、環境に配慮した事業の実施、経済社会にとって特に重
要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。
④成長と分配の好循環を実現させるために有効な投資内容となっているか。
これら、すべてを追いかけなくても十分ですし、あまり気にしなくて良いと思います。
そもそも、ここは「審査員」が審査する項目でなく、経済産業省の職員さんが審査する項目です。
強いて言えば、みなさん、③について、何らかの主張ができるようにはしたいものです。
口頭審査
こちら、以下の公募要領の原文をご一読ください。特段、コメントはございません。
一定の基準を満たした事業者を対象に、外部有識者による審査を行います。
【審査内容】
提出された事業計画書を用いて、事業内容の適格性、経営力、事業性、実現可能性等の観点について、外部有識者との質疑応答を行っていただきます。
【実施方法】
●オンライン(Zoom 等)にて実施いたします。会議用 URL は事務局にて発行します。
●所要時間は 30 分程度の予定です。接続テストを実施しますので、会議開始 5 分前から事前にご入室ください。
●審査中はカメラをオンにしていただき、審査対応者(申請事業者)の上半身(正面を向いて顔と耳と肩が明瞭に判別できる)を映していただきます。
●審査中の音声は録音いたします(録音した音声は審査以外の目的で使用することはありません。)
●審査当日に本人確認及び周辺環境の確認を実施いたしますので、顔写真付きの身分証明書をご用意ください。
●審査は申請事業者自身(法人代表者)1名が対応してください。当該事業者において勤務実態がない者、事業計画書作成支援者、経営コンサルタント、社外顧問等の申請事業者以外の方の対応や同席は一切認めません。
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