第10回公募 事業再構築補助金『成長枠』の要所解説
みなさんこんにちは、坂本経営事務所代表の坂本です。
令和5年3月30日に第10回目の事業再構築補助金の公募が開始されました。
ここでは、第10回公募 事業再構築補助金『成長枠』のあらましについて解説させていただきます。
目次
成長枠の概要等
①「成長分野」に属することが最大のポイントです。事務局で指定された中に含まれていれば問題ありませんが、
含まれておらずご自身でそのエビデンスを探すのは難儀と思われます。
第10回公募からの試みであり審査の難易度が何とも言えません。
②補助率について、大規模な賃上げを行う場合には1/6引き上げられます。
国策とのバーター取引みたいです。
③補助事業期間の延長が条件によっては認められることになりました。
発注しても国際情勢や感染症の関係から入荷までのリードタイムがモノによっては
極端に延伸していることが要因だと思います。
また、裏側を除けば、経済産業省の仕組み制定の不備等により、交付申請や実績報告の審査に
あまりに時間を要していることもあると思っています。
成長枠の申請要件
申請要件のマトリックス
上図が「成長枠」の申請要件をマトリックスに整理したものです。
そもそも、左側の必須要件を満たせばそれで足りるものなのですが、
国策でもある①賃上げ、②給与支給総額の増加、③従業員の増員を行えば、
補助率の引き上げ、補助上限額の上乗せ、といったインセンティブが付与されることになりました。
といったことで一寸複雑になっています。
これは、「グリーン成長枠」についても同様です。
次章より各必須要件のポイント等を紹介いたします。
事業再構築要件
事業再構築補助金は5つの類型に分かれておりますが、便宜上、以下の2つの類型の解説は省略させていただきます。
・『事業再編』につきましては、会社法上の組織再編行為を行い、下記の事業再構築の類型である
「新市場進出」「事業転換」「業種転換」のいずれかを行うものであることから割愛しています。
・『国内回帰』につきましては、サプライチェーン強靱化枠に申請する事業者のみ選択可能であり
当該枠は本記事の対象外としておりますので割愛しています。
上表に記述の3つの類型の定義ですが
・『新市場進出』とは、主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等し、
新たな市場に進出することを指します。
そして、『新市場進出』は「新分野展開」と「業態転換」に分類されます。
その中、「業態転換」とは、ヨガ教室をリアルな教室からオンラインで提供するようなものであり、
このようなテーマで申請される方も要件を満たすことになります。
・『事業転換』とは、新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、
主たる事業を変更することを指します。
・『業種転換』とは、新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することを指します。
これら3つの相違は、売上高等要件の新規事業(製品等)あるいは新規事業が属する事業・業種の
会社全体に占める売上(付加価値額)構成比で区分けされるイメージで捉えてください。
詳細は「事業再構築指針の手引き」 コチラ をご参照ください。
認定支援機関要件
公募要領に以下のように書かれています。
「認定経営革新等支援機関」とは金融機関、商工会/商工会議所、税理士・中小企業診断士などの士業及びその法人が受け持っています。
「確認を受ける」のは間違いないのですが、当該機関のアドバイスを受けて事業計画書を作成するといった手順になります。
その証として当該機関に「認定支援機関確認書」を作成していただき提出することになります。
付加価値要件
これが要件です。つまり、5年の事業計画を策定した場合は、5年目で補助事業終了時点と比較し付加価値額が20%増加するような事業計画書を作成する必要があります。
ただし、これが守れなかった場合に特段のペナルティーが科せられるわけではありません。努力義務です。
ちなみに、付加価値額は、「営業利益+人件費+減価償却費」と定義されています。
市場拡大要件
これが要件となります。
・原則、事務局が指定した業種業態となります。 コチラ ご参照
・ただし、事務局が指定したものでなくても、政府による公的統計や政府文書による推計の他、業界団体等が作成した統計や推計、著名な第三者機関が公表している業界レポート等を証憑データとして提出し、審査が通れば要件を満たすことになります。
恐ろしいことに、審査がパスできなかった場合は「不採択」となってしまいます。
公募要領18~19ページに留意点が載っていますので「成長枠」で申請される方はご一読ください。
給与支給総額増加要件
これが要件です。つまり、5年の事業計画を策定した場合は、5年目で補助事業終了時点と比較し給与支給総額が10%増加するような事業計画書を作成する必要があります。
ただし、これが守れなかった場合に特段の金銭的なペナルティーが科せられるわけではありませんが、正当な理由無く上記の水準に達していなかった場合には、その事業者名を公表します、とのことです。
ちなみに、これは賃上げだけで成し遂げる必要はありません。人員増による給与支給総額の増加でも大丈夫です。
補助率引上要件
「成長枠」の補助率は、中小企業者等が1/2、中堅企業等が1/3ですが、大規模な賃上げを行う場合
中小企業者等が2/3、中堅企業等が1/2に引き上げられます。ただし、以下の「補助率引上要件」すべてを満たす必要があります。
●補助事業実施期間内に事業場内最低賃金を年額45円以上引上げること
●応募時に「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」を提出し妥当性が評価されること
ポイントとしては、交付決定後から建物や装置を建設・改修・導入し実績報告を上げる段階の補助事業実施期間内
にこれらを成し遂げる必要があります。
また、給付の方法、返還要件について以下のように書かれています。
ただし、事業終了後3~5年の事業計画期間に給与支給総額を年率平均2%以上増加させることが出来なかった場合には、追加で支給した補助率1/6分(補助率引上げ分)の返還が必要です。
まずは、先ほど「補助事業実施期間内」に給与支給総額6%以上の引上げと事業場内最低賃金45円以上の引上げが、初回の事業化状況報告の段階で確認できたら追加分(1/6)が支給されるようです。
また、””事業終了後に給与支給総額を年率平均2%以上増加させることが出来なかった場合には補助率引上げ分の返還が必要””とのことであるが決して重たいペナルティーでは無さそうです。
ただし、従業員からはしっかり見られています。慎重にご検討くださいませ。
大規模賃金引上促進枠
「成長枠」の補助上限額は従業員の規模によって異なります。
その中、従業員数が101人以上の企業等の補助上限額は7,000 万円です。
これに対し、『大規模賃金引上促進枠』の「補助率引上要件」と「従業員増員要件」を満たすこと等で
最大3,000万円補助金額が上乗せできるインセンティブが設けられました。
●【従業員増員要件】補助事業終了後3~5年の間、従業員数を年率平均 1.5%以上増員させること
●申請時点で「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」し採択案件されること
この、『大規模賃金引上促進枠』については、事業終了時点で「補助率引上要件」と「従業員増員要件」が満たされなかった場合補助金は給付されません。
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