業態転換

業態転換

 
事業再構築補助金ー業態転換
ほかの類型と比較してみると頭に入りやすくなります。

上表を見てお解りの通り、業態転換とは、以下のように定義されています。

●製造・提供方法を相当程度変更する。
●他の「新分野展開」「事業・業種転換」と比べ「市場の新規性」が必須要件ではない。
●売上高要件は、新製品等の売上比率が事業計画終了後で10%以上

製造業の業態転換の要件を満たす例から学ぶこと

 
事業再構築補助金ー業態転換
骨子の主従関係に注目する
 
例題分を読むと、
●「主テーマ」:健康器具を製造している製造業者が、AI・IoT技術等を活用して、製造プロセスの省人化を進める。
 アフターコロナ禍を想定すると一過性の対応と思われがちだが、当該目的でも容認されることは意外でした。

●「従テーマ」:削減が見込まれるコストを投じてより付加価値の高い健康器具を製造
 ということのようです。

会社の経営方針としては、通常、逆ですよね!
より付加価値の高い健康器具を製造販売することが主目的(主テーマ)で、
そのための製造面の課題(従テーマ)が、AI・IoT技術等を活用しての生産性向上
だと思います。

したがって、より付加価値の高い健康器具を具体的に特定し、当該新製品の事業化確度が高い
ことをしっかりとマーケティングしておくことが肝要です。

補足ですが、削減が見込まれるコストを投じて・・・ここはあまり例が無いと思います。
だって、削減が見込まれるコストを投じるだけでは、より付加価値の高い健康器具の受注は取れないですよね。

たとえば、以下の例題のようなもののほうが馴染むような気がします。

・電子基板を製造している製造業者が、AI・IoT技術等を活用して、品質保証体制の高度化を進める
・これにより、次世代の電子基板の受注が取り込め売上高アップが見込める

例題の内容から要件のレベル感を掴む
 
①AI・IoT技術について、
ここで読み解くことは、競合先の多くが既にやっていることではない、
そして、今までにない設備等を活用するもの、
ここを押さえておけば、AI・IoTに固執することは無いでしょう

時期はだいぶ遡りますが、
2021年3月29日の「事業再構築指針」の改訂で、””競合先の多くが既にやっていることではない””
といったことが要件から外れました。

ただし、公募要領に、

  補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現
  するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に記載してください。

との記述がありますので、実態は外れていないと思った方が良いでしょう。

②より付加価値の高い健康器具について、
”新製品等を販売した際に、既存製品等の需要の多くが代替されることがないこと”
といった市場の新規性の要件が「業態転換」にはありませんので同一の製品群でも大丈夫です。

新製品の売上比率10%以上
 
確かに、要件としては、3~5年の事業計画終了時点で、新製品の売上比率が10%以上になることですが、
社運を賭けた再構築ですから、ゴールの姿も事業計画書に記載しましょう!

3年後:12%   新製品等が成熟した時  7年後:30% いう風に

要は、単に要件をクリアすればよい、でなく、問われている「再構築」
ここに応えるために「ゴールの姿」を見せるのは重要だと思いますよ!

そして、2022年1月20日に第5回公募が開始されたのと同時期に
新製品等の売上比率が10%以上、あるいは、『新製品等の付加価値比率15%以上』
という付加価値要件が追加されました。

製造業の業態転換の要件を満たす考え方を読み解く

 
事業再構築補助金ー業態転換
製造業の場合には、「製造方法の新規性要件」を満たす以外に「製品の新規性要件」も満たさなければなりません。
製造業以外の業種であっても、「設備撤去等要件」を満たさない限り「提供方法の新規性要件」のほかに「商品・サービスの新規性要件」
も満たさなければなりません。

つまり、生産性向上や品質の向上についての抜本的な改革(再構築)を図り、
その成果で新製品・新商品・新サービスの事業化を図る必要がある、ということです。

それでは個々に解説して行きます。
 
製造方法の新規性要件 ①過去に同じ方法で製造等していた実績がないこと
私だったら、2つの視点から考えます

a)ハード面の視点
 まさに、②の新たな製造方法等に用いる主要な設備を変更すること、に則ることです。
 (だいたいの方は、設備投資、システム投資を伴う新たな製造方法の変更だと思われます

b)ソフト面の視点
 これは、a)の新たな設備を導入しつつ、抜本的に製造プロセスを変更することです。
 証明としては、新・旧の製造フローチャートなどが簡潔でふさわしいのではないでしょうか
 
製造方法の新規性要件 ②新たな製造方法等に用いる主要な設備を変更すること
だいぶ遡りますが、
2021年3月29日にリリースされた「事業再構築指針の手引き(ver1.1」では、以前のものに比べ、
“”単により性能の高い同種の機械設備得お導入するだけでは要件を満たしません“”
この要件が削除されました。

したがって、例題に載っていた
””従来パウンドケーキの製造に要していたオーブン機器をより性能の高いものに単に置き替える場合、は要件を満たさない“”
この要件も削除されました。

ここは、正直、厳しい要件でしたが、これが外れたおかげで、最新機能を備えた機械設備
の導入でもOK、という風に理解できます。
 
「番外」競合他社の多くが既に製品を製造するのに用いている製造方法ではないこと
この要件が削除されました。

ただし、前述の通り、公募要領に、

  補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現
  するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に記載してください。

との記述がありまので、実態は””削除されていない””と思った方が良いでしょう。

 
製造方法の新規性要件 ③定量的に性能又は効能が異なること
ここは、「製造方法等の性能や効能が定量的に計測できる場合に限る」との補足がありますが、
みなさん可能な限り書いてください。

そもそも、定量的に期待効果を表現できなかったら、みなさんの事業再構築の有効性が審査員に伝わりません。
 
製品の新規性要件 ①過去に製造した実績がないこと
ここで事例から分析してみましょう!

「新分野開拓」の事例は、航空機用部品から医療機器部品
こちらの「業態転換」の事例は、現状より付加価値の高い健康器具、です。
つまり、『後継機種』で良い、こんなふうに考えています。

一寸、工夫してみましょう!
 
製品の新規性要件 ②主要な設備を変更すること
右側の「要件を満たす考え方」の欄に記載されている通りです。
また、上述の、②新たな製造方法等に用いる主要な設備を変更すること、と同様です。
 
「番外」競合他社の多くが既に製造している製品ではないこと
上述の「番外 競合他社の多くが既に製品等を製造等するのに用いている製造方法ではないこと」で記述した事項と同様です。
 
製品の新規性要件 ③定量的に性能又は効能が異なること
右側の「要件を満たす考え方」の欄に記載されている通りです。

サービス業の業態転換の要件を満たす例から学ぶこと

 
事業再構築補助金ー業態転換 
例題の内容から要件のレベル感を掴む
 
この例題を見て、ほとんどの方が””本当にこれで大丈夫””と思われたのではないでしょうか。

でも実態はそう優しいものではありません。

オンライン教室の仕組みを構築するうえで、何かアイデアを駆使していかないと先駆者には勝てません。

つまり、みなさんならではの「事業企画力」 これが要求されていされているようです。

ですから、アフターコロナ期になってもオンライン教室の需要が下がらない、リアルな教室に回帰しない、
こういった存続性の高いことも事業計画書で見せたいものです。
 
ポジティブな行動
 
上述の「業態転換の定義」には、市場の新規性要件が必須ではありません。
でも、当該事例においては「代替性が低い」と判断できることから、
新市場進出といった視点からもPRしたいところです。

理由は、現状の「リアルな教室」と「オンライン教室」では顧客層が異なり
カニバリゼーション(共食い)が回避されることが期待できるからです。

オンライン教室だけでお客様が満足できるものであれば、商圏を全国に広げることも可能かもしれません。

サービス業の業態転換の要件を満たす考え方を読み解く

 
事業再構築補助金ー業態転換  
製造業の以外の業種では、「提供方法の新規性、「売上高要件」のほかに
「商品・サービスの新規性要件」「設備撤去等要件」のいずれかを満たさなければなりません。

それでは個々に解説して行きます。
 
提供方法の新規性要件 ①過去に同じ方法で提供していた実績がないこと
右側の「要件を満たす考え方」の欄に記載されている通りです。
 
提供方法の新規性要件 ②新たな提供方法等に用いる主要な設備を変更すること
右側の「要件を満たす考え方」の欄に記載されている通りです。
 
「番外」競合他社の多くが既に商品・サービスをするのに用いている提供方法ではないこと
この要件が削除されました。

ただし、前述の通り、公募要領に、

  補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現
  するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に記載してください。

との記述がありまので、実態は””削除されていない””と思った方が良いでしょう。

右側の「要件を満たす考え方」の欄に記載されている通りですが、「オンライン教室」自体
相当程度普及しているとみなされ、みなさんならではの斬新なオンライン教室にする必要がある気がしています。

「製造業の業態転換の要件を満たす考え方を読み解く」でも紹介している「ソフト面」つまり
オンライン教室のオペレーションで差別化を図る、この視点が重要だと思います。
 
提供方法の新規性要件 ③定量的に性能又は効能が異なること
ここは、「製造(提供)方法等の性能や効能が定量的に計測できる場合に限る」との補足がありますが、
みなさん可能な範囲で書いてください。

そもそも、定量的に期待効果を表現できなかったら、みなさんの事業再構築の有効性が審査員に伝わりません。
 
商品・サービスの新規性要件 ①過去に提供した実績がないこと
ここで事例から分析してみましょう!

「新分野開拓」の事例は、ウィークリーマンションからテレワークスペース
こちらの「業態転換」の事例は、ヨガ教室の形態を変えエアロビクス含むオンラインレッスン、です。
まさしく、提供方法の変更です。

一寸、工夫してみましょう!
 
商品・サービスの新規性要件 ②主要な設備を変更すること
右側の「要件を満たす考え方」の欄に記載されている通りです。
例題を見ると、ヨガ教室でもミラーはあると思いますが、エアロビックスならではの大型ミラー
はOKという相場観とも取れますね!利用目的が違うから「再構築性あり」ということでしょうか
 
「番外」競合他社の多くが既に提供をしている商品・サービスではないこと
この要件が削除されました。

ただし、前述の通り、公募要領に、

  補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現
  するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に記載してください。

との記述がありまので、実態は””削除されていない””と思った方が良いでしょう。

右側の「要件を満たす考え方」の欄に記載されている通りですが、「オンライン教室」自体
相当程度普及しているとみなされ、みなさんならではの斬新なオンライン教室にする必要がある気がしています。
 
商品・サービスの新規性要件 ③定量的に性能又は効能が異なること
ここは、「商品・サービスの性能や効能が定量的に計測できる場合に限る」との補足がありますが、
みなさん可能な範囲で書いてください。

そもそも、定量的に期待効果を表現できなかったら、みなさんの事業再構築の有効性が審査員に伝わりません。
 
設備撤去等要件
右側の「要件を満たす考え方」の欄に記載されている通りです。
 
超重要
事業再構築とは、スクラップ&ビルドです。したがって、「新分野開拓」「事業転換」「業種転換」で
申請される方も、設備等の撤去は意識して記述してください。
”不退転の決意”であることが示せます。