第12回公募 事業再構築補助金『成長分野進出枠(通常類型)』の要所解説
ここでは、『成長分野進出枠(通常類型)の補助上限額等の基礎情報、申請要件、事業計画書の具体的内容について解説をしてまいります。
目次
補助対象事業の類型及び補助率等
①概要のところでは、やはりまだコロナは引きずっていること、成長と言えども国内市場縮小の課題
に直面する事業者の再構築支援も含まれていることが特徴です
②補助上限額は従業員規模により定められています
また、補助上限額は、大規模な賃上げを行う場合には増額されます。また、上限額自体
従来の「通常枠」より減額されています。
なお、大規模な賃上げの仕組みについては後述いたします。
③補助率も大規模な賃上げを行う場合には増率されます。この成長分野進出枠の補助率は他枠と比べても
低いのでチャレンジが可能な方は狙ってみたら如何でしょうか!
④補助事業実施期間は、交付決定がズルズル後倒しになると実質これだけの工数はありません。
効率的に進める必要があります。
⑤建物費、機械装置費、システム構築費の他にも広範にカバーされています。
廃業費につきましては、唯一、成長分野進出枠(通常類型)で申請され「市場縮小要件」を満せる
方のみに交付される費用です。
申請要件
事業再構築要件
上表に記述の3つの類型の定義ですが
・『新市場進出』とは、主たる業種又は主たる事業を変更することなく、新たな製品等を製造等し、
新たな市場に進出することを指します。
そして、『新市場進出』は「新分野展開」と「業態転換」に分類されます。
その中、「業態転換」とは、ヨガ教室をリアルな教室からオンラインで提供するようなものであり、
このようなテーマで申請される方も要件を満たすことになります。
・『事業転換』とは、新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することなく、
主たる事業を変更することを指します。
・『業種転換』とは、新たな製品等を製造等することにより、主たる業種を変更することを指します。
これら3つの相違は、売上高等要件の新規事業(製品等)あるいは新規事業が属する事業・業種の
会社全体に占める売上(付加価値額)構成比で区分けされるイメージで捉えてください。
詳細は「事業再構築指針の手引き」 コチラ をご参照ください。
金融機関要件
公募要領に以下のように書かれています。
金融機関から資金提供を受けない=自己資金で補助事業の投資・経費を賄える会社のみ
金融機関以外の認定支援機関(商工会議所は税理士・中小企業診断士等)に事業計画の確認を
行ってもらっても良いですが、金融機関等から資金提供を受ける方は、資金提供元の金融機関のみ
しか確認することはできない、と改訂されました。
従来は、補助金額が3,000万円を超える場合のみ金融機関のみが関与、ということでしたが、
今回から、金融機関等から資金提供を受ける場合は金額にかかわらず資金提供元の金融機関に
事業計画の確認を行ってもらわないといけなくなりました。
資金提供元の金融機関に事業計画の確認を行ってもらうことで融資の確約が得られるわけではありませんが、
本音としては、融資の条件を満たす方のみに事業計画の確認を行う金融機関もあるようですので、
資金繰りがひっ迫している方は早めの調整が必要です。
付加価値要件
これが要件です。気になるところが、「年平均成長率 4.0%以上増加」というのが単利か複利かということです。
ちなみに、付加価値額は、「営業利益+人件費+減価償却費」と定義されています。
「給与総額増加要件&市場拡大要件」と「市場縮小要件」
『成長分野進出枠(通常類型)』で申請される場合は、
①「給与総額増加要件」と「市場拡大要件」双方を満たすこと
②「市場縮小要件」を満たすこと
①②の何れかを満たすことと定義されています
それでは3つの要件を個々に見ていきましょう
事業終了後3~5年で給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させること
ここで意識してほしいのは、「事業終了後3~5年」といった時期です。
後述の、補助金・補助率引上げのための「補助率引上げ要件」は「補助事業実施期間内(開始~終了)」ですので
混同しないようにしてください。
また、給与支給総額を年平均成長率で2%(賃上げ加点を受ける事業者は3~5%。)以上増加させる計画を作成し、適切に実行いただく必要があります。応募時に賃金引上げ計画の誓約書を提出してください。また、正当な理由無く、上記の水準に達していなかった場合には、その事業者名を公表します。
このようにも書かれています。何となく、努力義務の範疇のようです。ただし、従業員に公表することになりますので真摯に取り組む必要があるでしょう。
取り組む事業が、過去~今後のいずれか 10 年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること
これが要件となります。
・原則、事務局が指定した業種業態となります。 コチラ ご参照
・ただし、事務局が指定したものでなくても、政府による公的統計や政府文書による推計の他、業界団体等が作成した統計や推計、著名な第三者機関が公表している業界レポート等を証憑データとして提出し、審査が通れば要件を満たすことになります。
審査がパスできなかった場合は「不採択」となってしまいます。
公募要領に留意点が載っていますのでご一読ください。
①現在の主たる事業が過去~今後のいずれか 10 年間で、市場規模が 10%以上縮小する業種・業態に属しており、当該業種・業態とは別の業種・業態の新規事業を実施すること、又は
②地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の 10%以上が失われると見込まれる地域で事業を実施しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の 10%以上を占めること
①に関する事務局が指定した業種・業態は コチラ ご参照ください。
今後、さらに対象の業種・業態が増えると、逆に、転地先業種の選定が窮屈になります。
総合的に捉えると、ほどほどで良いのではと思います。
そして、こちらも「市場拡大要件」と同様に、事務局が指定した業種・業態以外であっても応募時に要件を
満たす業種・業態であることを証するデータを提出し、審査が通れば要件を満たすことになります。
審査がパスできなかった場合は「不採択」となってしまいます。
②については、「事務局が指定した対象地域」は未だ少ないようです。 コチラ ご参照ください。
補助率等引上要件
「成長分野進出枠(通常類型)」の補助率は、原則、中小企業者等が1/2、中堅企業等が1/3ですが、
以下の「補助率等引上要件」すべてを満たすことで中小企業者等が2/3、中堅企業等が1/2に引き上げられます。また、補助上限額の引き上げも可能となります。
●補助事業実施期間内に事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引上げること
●応募時に「大規模賃上げ及び従業員増加計画書」を提出し妥当性が評価されること
ポイントとしては、交付決定後から建物や装置を建設・改修・導入し実績報告を上げる段階の補助事業実施期間内
にこれらを成し遂げる必要があります。
また、返還要件について以下のように書かれています。
また、市場縮小要件を満たして申請する場合を除き、事業終了後3~5年の事業計画期間に給与支給総額を年平均成長率2%以上増加させることが出来なかった場合にも、補助金額・補助率引上げ分の金額について、返還が必要です。
概して、重たいペナルティーでは無さそうです。なぜなら、逆に、実現できなくても「成長分野進出枠(通常類型)」単体レベルの補助金額は確保できるからです。
ただし、従業員からはしっかり見られています。慎重にご検討くださいませ。
事業計画書の具体的内容
ここでは、事業計画書に何を書いてほしいのか、を明快に示しています。
でも、どんな風に書けば採択されるのか! 悩ましいところですよね!
”言うは易し行うは難し” 簡単にはいきません。
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。