第12回公募 事業再構築補助金 審査項目の解説
みなさんこんにちは!坂本経営事務所の坂本でございます。
ようやく、2023年秋に実施された有識者における行政事業レビューで上述のご指摘を踏まえ、
2024年4月23日に「事業再構築補助金第12回公募」が開始されました。
この、行政事業レビューでは
「審査の厳格化とデータの収集の厳格化については、引き続き十分な検討が必要である」
とのご指摘があり、これの対策として仕組みがかなり変わりました。
とはいっても、事業計画書に記載すべき事項はほとんど変わっていません。
ただ、審査の厳格化に伴い、審査項目の内容と建付けがガラッと変わりましたので、
これを意識して事業計画書を作成しないと点数は入りません。
この視点から、精緻化された審査項目について解説してまいります。
目次
書面審査の審査項目
第12回公募より、この書面審査と口頭審査の2種類の審査がなされ両方をパスしなければならなくなりました。
このうちの「書面審査について一口コメントを踏まえ解説してまいります。
補助対象事業としての適格性
こちらは極めて本質的なところです。そして、100点満点中何点といったレベル評価ではなく、原則、パスor一発レッドカイド(不採択)の評価です。もちろん”疑わしい”といったイエローカードが出される場合もあるでしょう!
新規事業の有望度
こちらは、ジャンルとしては第12回公募より新設されたものでありますが、内容としては過去の個別審査項目を”より精緻かつ具体的”にしたものと思われます。
キーワードは「優位性」のようですが、事業再構築を行うのですから、新参者として「十分に生き残っていける」施策が明確かどうかが問われています。
それでは、個々に見ていきましょう。
①についてですが、この先明るい市場に参入するものであるか、ここが問われています。
製造品が全世界的に使われるような業種・業態の方なら問題ありませんが、
国内消費の業種業態の方にとっては、 原則、市場は縮小していくでしょう!
ここは、審査員も当然頭に入れて審査してきます。
したがって、大きな市場で捉えるのではなく自社の参入領域を細かく特定するスモールマーケティングで
捉えるのが良いでしょう。ただし、スモールマーケティングになるとこれを示す客観的データがとりずらい
ことが悩ましいですね!
このワンポイントアドバイスは、展示会に出向いて情報収集することです。
新参者として「十分に生き残っていける」施策を練るためには、今後、みなさんが参入する業種・業態が
どのように変化していくのか。それを押さえたうえで出展企業のブースに出向き情報収集するのです。
そうすれば、市場の規模・動向のみならず、差別化戦略のテーマも思い浮かぶことでしょう。
②については、問題となった「フルーツサンド店」「シュミレーションゴルフ施設」などインフラを整備すれば
誰でも比較的参入しやすいことが得策ではないです。なぜなら、こういった業種・業態は参入障壁が低く
同質化競争に陥てしまう可能性が高いからです。
むしろ、相応の新規参入の課題があって自社で克服できるものが望ましいでしょう!
事前に、新規事業について調査・研鑽し解決の見通しを得ておくことが肝要と思われます。
記述中の「ビジネスモデル上調達先の変更が起こりにくい事業ではないか」これ、一寸わかりずらいのですが
たとえば、飲食事業を展開するにあたり仕入先候補の力があまりに強い・仕入れ品があまりに希少、
こういったことを指しているのでしょうか。であれば、参入は難しいし、継続はさらに難しいかもしれません。
③については、優位性についての審査の視点が具体的に特定されたようです。したがって、審査員はいやでも
この項目に該当する記事を見つけて評点することになりますのできちんと押さえておく必要があります。
☞ ・・・競合は網羅的に調査されているか、 ☞ 比較する競合は適切に取捨選択できているか、
これは自社に都合が良い競合先とで比較していないか、
ということのように思います。
中には、この方式で製造・提供するのは当社だけなので競争相手は存在しない、
このように言われる方がおられます。これはあまりに独りよがりであって、お客様にとっては代替手段
はいくらでもあるはずです。ですから、代替製品・サービスを含め、競合先を網羅的に調査することで
優位性を示すことが肝要なのです。
☞ 顧客が ・・・ 要素や判断基準は明らかか、 ☞自社が参入して ・・・ 要素や判断基準を充足できるか、
ここ、超重要です。顧客視点でとらえることで事業計画書の説得力が増します。
そして、そのために、みなさんができる限りのテストマーケティングを行うことをお勧めいたします。
製造業の方にとっては、ハードルが高いことかもしれませんが必要な設備を持っている方から設備を
拝借し試作品を作って顧客候補に評価してもらうのも有効かもしれません。
☞ 自社の優位性が、容易に模倣可能なもの ・・・ となっていないか
こちらこの通りです。機械装置の力に依存するような事業計画では差別化は図れません。
事業の実現可能性
①については、事業化計画について審査をします、ということでしょう
事業化計画とは、簡単に言えば、機械装置や建物の建設・改修を終えた後に、補助事業がきちんと採算が
取れるようにするためのアクションプランを時系列に示すことです。
販売・広報行動もあれば、技術・技能のブラッシュアップ、会社組織の見直し、更なる生産性向上施策
などがこれにあたるでしょう
②については、債務超過や慢性赤字、借り換えなどの金融支援をお願いしている方は、補助事業の展開施策を
記述するとともに現状の歯止め策を記述することをお勧めします。
また、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか、これについては、
「資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること」そして、この確認書を提出することに
なっていますので、目的は違いますがこの確認書が入手できれば、概ね大丈夫と思われます。
これについては、早めに金融機関と調整されることを提案させていただきます。
特に、コロナ回復加速化枠で申請される方は、金融機関としても信用保証協会と調整されると思われますので
相応の日数が掛かります。
③については、体制が確保できている方は、逆に事業再構築の挑戦度が低いテーマなのかもしれません。
より、高い目標にチャレンジすることを目指し、その解決させるための体制やスキルアップ計画を
示すことが肝要でしょう。
公的補助の必要性
何となく①③④については、次に示す「政策点」の分類のような気がします。
②は「事業の実現可能性」の分類のような気がしますし、⑤の記述の意図が良くわかりません。
⑤は、十分な資金力がある方に点数をあげずにコロナ債務を抱える方などを優遇するための大義を規定化させる
ことが狙いなのでしょうか?
詳細の解説は割愛させていただきます。
政策点
いままでの「新規事業の有望度」「事業の実現可能性」については自社にとっての成果に対する評価
だったものに対し、当該審査項目は、自社の取組が地域社会の発展に貢献することを視点に
設けらているのでしょう。
事業テーマの特質上すべての項目が当てはまる方は少ないと思われます。その中、
特に⑤については、みなさん、誇らしげに記述してください。
その他ー特定類型の審査項目
こちら、お読みいただければご理解いただけると思いますので詳細の解説は割愛させていただきます。
加点項目・減点項目
私は、このような加点項目の煩雑さを容認することができません。
これだけの加点項目があると本来の事業の目的に沿った申請案件が阻害されるケースが発生するような気がします。
内容は、公募要領47~51ページをご参照ください。
口頭審査・・・公募要領より要所抜粋
口頭審査の対象となった場合、事務局から受験日時の予約案内を行います。受験日時の予約案内は、口頭審査の対象となった事業者のうち、電子申請が完了した事業者から随時行います。
【口頭審査期間:調整中】
◼ 審査内容
・ 本事業に申請された事業計画について、事業の適格性、革新性、優位性、実現可能性等の観点について
審査いたします。
・ その他、本事業の申請に係る意思決定の背景や事業実施に際しての事前のマーケティング調査等、計画
書に記載のない内容についても伺う場合があります。
◼ 審査方法
・ オンライン(Zoom等)にて実施いたします。会議用URLは事務局にて発行します。
・所要時間は1事業者15分程度の予定です。
◼ 留意事項
・審査対応者が申請事業者自身でないことが判明した場合は不採択もしくは交付決定等の取消、補助金返
還となる場合があります。
・公平性の観点から、口頭審査の内容を他者に口外することは禁止します。口頭審査の内容を他者に口外
したことが判明した場合は、不採択もしくは採択・交付決定の取消、補助金返還 の対象となります。
それでは、気付き事項下記致します。
①口頭審査対象者は一定の審査基準を満たした方、ということで詳細不明
ちなみに、類似の「ものづくり補助金」は補助申請額が一定規模以上の方
②オンラインで実施・・・補助申請額が一定規模以上の方であればオンライン会議ができない方はいないであろう
③審査期間は現時点不明
④所要時間は1事業者15分程度・・・かなり短い。審査員は書面審査員?主に自社主導で行っているかの確認?
⑤審査対応者が申請事業者自身でないことが判明した場合
・・・不採択等の処分。労働者名簿と身分証明書でチェックは可能なのでこれを掻い潜るとなると相当悪質。
⑥口頭審査の内容を他者に口外したことが判明した場合
・・・これも不採択の処分。他者に口外しても何のメリットもありません。まして、認定支援機関などの支援者
に口外すると内容が拡散してしまうので厳禁。
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