『躍進的な事業推進のための設備投資支援事業(助成金)』申請の勘所
「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」に採択される申請書を作りたいみなさんへ!
2021年3月30日、「第1回躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」が案内されました。
また、ようやく、4月5日に「募集要項」が出されました。
そこで、採択の為の事業計画書作り、面接審査の対処法について紹介いたします。
申請者のみなさん! 早期着手が採択を制す!
今からしっかりと事業計画書作りの準備をしていきましょう!
目次
『躍進的な事業推進のための設備投資支援事業』のあらまし
第1回『躍進的な事業推進のための設備投資支援事業』のスケジュール
今の段階では、
1.「申請予約」を以下のURLよりWeb上で5月6日から5月26日までに行う
これは2.の申請書類提出の提出日時を予約するということです。
https://www.tokyo-kosha.orjp/
2.6月1日から6月8日までの1.で予約を取った日時に、申請書類を
東京都中小企業振興公社の指定場所に持ち込みます。
係の方が、提出書類の不備等チェックして下さりますので安心です。
昨年との変化点
一言で言ってしまえば、昨年まで4年間に亘り実施してきた「革新的事業展開設備投資支援事業」の
本質を踏襲しつつ、いろいろとに改良が施されています。
昨年までは『革新的』事業展開設備投資支援事業、今年は『躍進的』
ここから見え隠れするものは、『革新的』から『躍進的』に敷居を下げつつ、
後の記事でわかるように、したたかに「東京都に有益なこと」
これを基軸に改良されたもののように伺えます。
昨年のものは、「競争力強化」の事業区分で申請する場合、
機械装置と一体運用型ソフトウェアのみが対象でした。
それが、主に生産や役務の提供のために使用されるものであれば
ソフトウェアの単独購入がOKとなりました。
ただし、後述の通り、交付申請額1,000万円以下、との制限があります。
これは、サービス業の方に多くな武器となります。
この通りですのでコメントは割愛させていただきます。
昨年のものは、
・冷凍・冷蔵機能付きの陳列棚および陳列ケース
・度量衝器
・試験または測定機器
・理容または美容機器
に限定されていました。
ずっと、なぜこれに限定されるのか、意味がわかりませんでした。
これが、すべての器具備品が対象となりました。
器具備品は主役にはなれませんが、主役の機械装置を充分に引き立たせるサポーターです。
①「IoT」「AI」「ロボット」導入前適正化診断を終了し、その診断結果に基づく申請者
・・・こちらは、昨年もありました。継続されています。
②「地球温暖化対策報告書制度」等を提出している申請者
こちらは、新設された事業区分の「イノベーション」これの促進の意味もあるかもしれません。
そして、世界的にSDGsの時代です。
事業の目的
まずは、募集要項の『事業目的』を見てみましょう
大文字の「自ら稼ぐ力」、
これは、弱者救済のための助成金ではない、稼ぐためにイノベーションを巻き起こしてくれる事業者に
交付する助成金だ!と言っているのでしょう。
そしてこれは、同類の「ものづくり補助金」よりはるかに強力です。
ですから、きちんと力量をチェックするために書類審査のみならず「面接審査」があるのです。
それから大文字の「稼ぐ東京」、
これは、東京都の税金から支払うのだから都内経済発展に貢献しなさい!とのメッセージです。
ですから、これをきちんと説明しなければなりません。
また、青文字の部分は、以下に示す4つの事業区分を指しています。後ほど詳細に説明いたします。
助成対象事業、助成率、助成限度額
助成率、助成限度額は、以下の通りであり、「競争力強化」が他と比べ分が悪そうです。
だからといって、無理やり他の事業区分にこじ付けて申請するのは危険です。
助成対象事業は、Ⅰ~Ⅳのいずれかに合致する必要があります。
ここは、メインテーマが「DX推進」「イノベーション」の事業区分には該当しない、
最新設備の有効活用、生産プロセスの革新に取り組まれる方向けのものです。
高度な技術を持ち備えていない方でも、アイデアを駆使することで競合他社でやっていないことを
アピールする必要があります。
DX推進は、10TやAl、ロボット等のデジタル技術を活用し、Dx推進を図り将来的な変革を目指す取り組みです。
申請にあたって技術区分を① 10T・Al活用②ロボット③その他の中から1っ選ぶ必要があります。
加えて、従業員一人当たりの付加価値額 ( =労働生産性) を設備投資実施から 3 ~ 5 年後の間のいずれかで
年率 3 %以上向上させる計画であることが必要です。
昨年までは「IoT、ロボット活用」という名称でした。
それが、「DX推進」に変更(格上げ)となったのは、上記の通り、
””デジタル技術を活用し変革を起こしてほしい””、この要求からでしょう!
ですから、「生産設備の稼働状況把握」などは、これが主テーマであって
画期的なものでなければ要件を満たさないでしょう!
そして、何よりもお客様の要求とマッチすることです。
以下に示すイノベーション分野に関する製品について、
新事業活動を行うために必要となる機械設備を新たに導入するものです。
新事業活動とは、
・新商品の生産 ・新役務の提供
・商品の新たな生産又は販売の方式の導入
・役務の新たな提供の方式の導入
・その他の新たな事業活動
です。まさに「経営革新計画」と同様です。
加えて、従業員一人当たりの付加価値額 ( =労働生産性) を設備投資実施から 3 ~ 5 年後の間のいずれかで
年率 3 %以上向上させる計画であることが必要です。
ここは、分野が合致すれば必ずこの区分で狙いたいところです。
下請け企業でも十分チャンスがあると思います。
ただし、当該イノベーション分野で要求される「新たな生産・販売方式」
である必要があります。
対象者は、基準日(2021年4月1日)の3年前から助成対象期間の起点の前日まで
(平成30年4月1日から令和3年9月30日まで)に事業承継を行った事業者又は行う予定の事業者です。
もちろん、個人事業主も対象になります。
そして、従業員一人当たりの付加価値額 ( =労働生産性) を設備投資実施から 3 ~ 5 年後の間のいずれかで
年率 3 %以上向上させる計画であることが必要です。
後継者ならではの、新たな視点で事業を活性化させていくことを期待しているようです。
それだけに、後継者の経歴・職歴からも方向性を見出してみたらいかがでしょうか。
申請資格の要件
申請にあたっては、
以下の(1)及び(2)の要件を満たす必要があります。
◆次のアまたはイのいずれかに該当すること見出
ア中小企業者(会社及び個人事業者)
イ中小企業団体等
*中小企業者の定義は以下に則り大半の中小企業者様はこれに該当すると思われますが、大企業が実質的に経営に参画しているなどのケースでは中小企業者と見做されないケースがございますので、詳細は募集要項3~5ページをご参照ください。
=中小企業者の中の『小規模企業者』について=
小規模企業者は、以下の通り大くくりの業種単位に常用従業員数で判断されます。
以下に示しますように、小規模企業者については、「競争力強化」の類型であっても助成額
(投資額×助成率)が3千万円以下であれば、助成率が『2/3』となりますのでご留意ください。
業種 | 常用従業員数 |
製造業・その他 | 20人以下 |
商業・サービス業 | 5人以下 |
ここまではさほどややこしくないと思います。
◆次のアからキまでの全てに該当していること
ア 都内で実質的に事業を行っていること
(a)2021年4月1日現在で、東京都内に登記簿上の本店または支店があること。
ただし、機械設備を都外に設置する場合は、都内に本店があること。
(個人においては2021年4月1日現在で、東京都内に開業届出があること)
(b)2021年4月1日現在で、東京都内事業所で継続的に2年以上事業を行っていること
(c)本助成事業の成果を、都内で引き続き活用し続ける予定があること。
イ~キについては、募集要項4~5ページをご参照ください。
ちょっとややこしくなってきました。都外に設置の場合は、都内に本店があること、と書かれています。
ここまでを読むと、都内に本店があればすべての道府県の工場などに設備を設置してもOKと解釈されがちです。
でも、機械設備設置場所の定義がありますので、ここまで読まないと、みなさんに申請資格があるかどうかわかりません。
それでは、機械設備などの設置場所を見てみましょう
①自社の敷地・建物
募集要項にははっきりと書かれてはいませんでしたが、2021年4月1現在で自社所有物件または
賃貸借契約が結ばれている物件であること、が要件かもしれません。
②設置場所
②-1 東京都内に設置の場合
(a)2021年4月1日現在で東京都内に登記簿上の本店または支店があること
(b)原則、2021年4月1日現在で環境条例に定められた工場設置認可・認定を受けていること
工場設置認可については、『原則』と書かれています。申請時点で認定を受けていなくても、本助成事業完了までに認定を受ければOKですし、環境条例に則りそもそも認定を必要としない工場などもあります。
認定を受けていない方は、まず区・市役所などに確認してみてください
②ー2東京都以外に設置の場合
(a)2021年4月1日現在で東京都内に登記簿上の本店があること
(b)設置場所が神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、茨城県、山梨県に所在する工場等であること
はい、設置場所が限定されています。東京都以外では、関東6県と山梨県のみが対象になります。
(c)原則、設置場所が2021年4月1日現在で県または政令指定都市が定める環境保全等に関する条例による特定施設の各種届出がなされ、認可・認定を受けていること
これらを要約するとこのようになります。
●中小企業者、中小企業団体等であり↓
●自社の敷地・建物が、2021年4月1現在で自社所有または賃貸借契約が結ばれている物件であり、↓
●2021年4月1日現在で東京都内に登記簿上の本店または支店があり↓
●東京都都内事業所で継続的に2年以上事業を行っており、都内で引き続き活用し続ける予定がある
●原則、2021年4月1日現在で環境条例に定められた工場設置認可・認定を受けている
方、となります
(あくまで申請資格者の定義に限定した記述となっておりますので、詳細は、募集要領をご参照ください)
●中小企業者、中小企業団体等であり↓
●自社の敷地・建物が、2021年4月1現在で自社所有または賃貸借契約が結ばれている物件であり、↓
●2021年4月1日現在で東京都内に登記簿上の本店があり↓
●東京都都内事業所で継続的に2年以上事業を行っており、本助成事業の成果を、
都内で引き続き活用し続ける予定がある
●原則、2021年4月1日現在で県または政令指定都市が定める環境保全等に関する条例による特定施設の各種届出がなされ、認可・認定を受けている
方、となります。
助成対象経費
それでは、募集要項を見てみましょう
ここは、特段、コメントはございません。
詳細は「募集要項」9~10ページをご参照ください。
審査について
それでは審査要領を見てみましょう。募集要項の13~14ページです
提出書類に基づき、一次審査(資格審査、経理審査、事業計画審査)を行います。
一次審査を通過した申請者に対して、二次審査(面接審査(事業計画審査)、価格審査)を行い、
総合審査会にて助成事業者を決定します。このように書かれてます。
そうです。「躍進的な事業推進のための設備投資支援事業」など東京都の助成金は
概して、「面接審査」があります。
したがって、支援者(専門家)に丸投げでは、仮に一次審査が通っても二次審査でボロが出てしまいます。
ア 資格審査(1次審査)
本助成事業の資格要件に合致しているかを審査します。
・・・募集要項は熟読してください。
イ 経理審査(1次審査)
財務内容の【ア 安全性、イ 収益性、ウ 成長性】について審査します。
・・・決して財務状態が安定してるとは言い難いような状況でも、
事業計画書できちんと説明すれば活路は開けます。
ウ 事業計画審査(1次審査・2次審査)
事業計画の【ア 目的との適合性、イ 優秀性、ウ 実現性、エ 成長・発展性、
オ 計画の妥当性】について審査します。
・・・斬新な事業計画の創造よりも事業計画がうまくいくことの証明
のほうがはるかに重要です。
エ 価格審査(2次審査)
機械設備が、一般的な市場価格に対して著しく高額でないかを審査します。
・・・特に、特注品については留意してください。
【注意事項】
資格審査は、審査員でなく事務局が行います。
☑などの記載漏れや記載誤り(たとえば、履歴事項全部証明書に記載されている事項と申請書の不整合など)があると審査員に回らずに事務局のチェックの段階で『不採択』の箱に入れられてしまいます。
最終段階で充分にチェックしましょう。
【ウ 事業計画審査について】
重複しますが、
事業計画の【ア 目的との適合性、イ 優秀性、ウ 実現性、エ 計画の妥当性・先端性、オ 成長・発展性】について審査します、と書かれていますね。
特に、イの優秀性について、何か審査を有利に進めるテクニックがあるのか、気になりますよね。
正直言って有利に進めるテクニックはみなさんの事業計画と会社の概要を知らないと何とも答えようがありません。
ただし、わかりやすく伝えるテクニックならあります。
それは、何かと比較することです。特に優秀性についてはPRしやすいですね。
類似する「ものづくり補助金」との違いとは?
整理すると、ざっとこんな感じです。
①ものづくり補助金は補助上限額が1千万円であるが、本助成金は1億円
②ものづくり補助金は全国が対象であるが、本助成金は、原則、東京都に本店あるいは支店があり、
関東7都県&山梨県に機械設備等を設置する会社が対象
③ものづくり補助金には面接審査がないが、本助成金にはある
③ものづくり補助金は電子申請であるが、本助成金は資料を製本して指定会場に持ち込む
躍進的な事業推進のための設備投資支援事業、事業計画書の記述の勘所(ここですよ!)
難しい内容ではございませんが必ず募集要項に従い記載することです。
これを読まずに申請書を書いてしまう人がいますが、まず合格はしません。
審査員に書類が回る前に事務局のチェックで落ちてしまう確率が高いですので留意してください。
うちは、専門家にお願いするから大丈夫、とおっしゃる人がいます。
正直言って、募集要項をあまり詳しく理解せず支援をなさっている士業の方を何人となく見ています。専門家だからと言って安心するのは危険です。
読者のみなさんがしっかりと募集要項を理解するようにしてください
「事業計画」について”””このようなことを書きなさい”””、と募集要項に出ていますので、これに沿って記述することになります。
ざっと、記述のは以下の通りです。
それでは、ここからは各センテンスの記述テクニックについて紹介いたします。
企業の創業から現在に至るまでの沿革とともに、主な製品・サービスなどの業務内容、
及び事業承継について簡潔に記載してください、と書かれています。
ここは、要求事項に沿って淡々と書くことにはなりますが、
事業計画のスタートラインになるように書きたいところです。
代表者の経歴~創業から現在に至るまでの事業変遷、ここから
培った製品・サービスの特長を活かし、好調な市場に乗っかる助成事業を
描きたいものです。
市場動向及び事業計画立案の背景を踏まえ、本助成事業の計画の概要を簡潔に記載してください、
と書かれています。
ここは、以下に説明させていただく個別の記事のエッセンスを
記述することになりますので、ここでの説明は割愛させていただきます。
選択した事業区分( I競争力強化/ Ⅱ D x推進/ Ⅲイノベーション/ Ⅳ後継者チャレンジ)と、
事業計画がどのように関連しているか記載してください、
と書かれています。
ここがみなさん結構悩むようです。
たとえば、申請テーマの類型が「競争力強化」であれば、本事業計画の課題解決による成果が募集要項に記載の
「事業例」に合致する・あるいは、これに類することを示せば、やろうとしていることと要求されていること
(目的)が結びつくのでGoodです。
それだけに、前もって課題解決策が「事業例」に合致するようにシナリオの骨子を仕組んでおく必要があります。
文面は、
『本事業計画は○○の製品・技術のブラッシュアップを行い、顧客の増産要請に応え売上拡大を図るものである。
そのために、◇◇の最新設備を導入し、高効率生産ラインを敷設することで生産能力を確保するものである。
したがって、事業例に示されている「製品・技術力の向上、信頼性確保」「安定供給体制の確立」により
競争力強化を図るものであり本助成事業の目的と適合する』
こんな具合でしょう。
それから、「DX推進」「イノベーション」の事業区分で申請される方は、募集要項43~44ページの様式の
「DX推進概要書」「イノベーション概要書」からも引用し記述してください。
自社の製品・サービス、技術等や競合他社の動向、及び市場シェアにおける分析を踏まえて
事業計画の優秀性について、各視点から具体的に記載してください、
と書かれています。
そして、
・自社の製品・サービス、技術等
・競合他社の動向、及び市場シェア
の2つの括りで記述するような様式になっています。
ここについては、いろいろと論点がありそうです。
各視点から記載しただけでは、私は不十分だと思っています。
だって、自社がアプローチ可能なこれから伸びる市場に対し競合他社の動向を見ながら
戦略って練るものでしょう!
ですから、私だったら「自社の製品・サービス、技術等」のところで全体を総括し
「事業計画の優秀性」を纏めます。
要は、「自社の製品・サービス、技術等」のところで「競合他社の動向、及び市場シェア」
に触れて、”誰に 何を どのように”の論法で具体的に記述していきます。
そして、優秀性を示すのは、単純に比べることです。ここは、重要です、
「競合他社の動向、及び市場シェア」は上記のエビデンスデータということで
記事を作れば良いかな、と思います。
中小企業は大企業みたいにコンペチタとマクロ市場で戦っているわけではありません。
ただし、競争はしています。
・まず、自社の立ち位置(集団)を特定する
・目指すべき事業テーマに対して、競合との力量関係で進められるのかどうか
を判定し、その根拠を示す(勝算があるから事業テーマになっているとは思いますが…)
・そして、自社に足りていないものを本助成事業で構築し競合先と互角以上にマッチアップする。
「競合他社の動向、及び市場シェア」は、この「型」に当て嵌め記事をつくるのが
楽だと思います。
①市場性(ニーズの有無)の実現可能性
みなさんの事業計画の方向性が業界のロードマップに通じている
あるいは、通じているとは言い難いが、ロードマップから湾曲して
都合よく示せることもあります。
まずは、ロードマップを収集・分析し戦略に繋げましょう
②資金調達における実現可能性
自己資金で機械装置等の購入費が賄えれば何も問題はありませんが、
金融機関から借り入れる場合は可能性を示す、と言われても難しいですよね!
でも、以下の具合に、できる限りのことをしてみましょう
・現状の現預金残高から、回せる金額を決め借入額を決定する
・複数工と取引があればどこの銀行から借りるのが得策か過去の取引経緯
から説明する
・将来のキャッシュフローから投資回収期間を求め金融機関が貸しやすい
条件であることを示す
③会社組織面からの実現可能性
ここは、目指すべき事業テーマ遂行に関すし、管理者、筆頭従業員の職務経験、保有資格
を記述することなどから実現可能性可能性が高いことを示す。
また、組織の統廃合も踏まえて実現可能性可能性が高いことを示す。
加えて、社外の協力会社との協業体制からも実現可能性可能性が高いことを示す。
こんなところでしょうか。
①機械設備導入後に期待される生産性向上、技術力向上や市場参入の状況
ここは、期待効果を総括するように私は捉えています。
・品質、工期、直接費の削減
・高付加価値製品・商品・サービスの取込みによる粗利の増加
などでしょうか
②事業計画の製品 ・サービス、技術等が関連する顧客や産業界に及ぼす効果
産業界は難しいかも知れませんが、本助成事業の成果が顧客のメリットに繋がることは書きましょう!
③事業計画の遂行が都内産業にもたらす波及効果
「事業計画の遂行が都内産業にもたらす効果(雇用面、都内顧客や産業界、
都内外注先等にもたらす効果、技術革新等)等について記載してください」
と書かれています。これに従い記述してください。
都外に設備を設置する場合、特に詳細に記載して下さい、とお触れが発せられています。
東京都の助成金ですからね!仕方がないでしょう。
でも。きちんと書けば差別はしない、とも感じ取れます。
①導入する機械設備のスペック・規模等からその必要性と妥当性
「申請書記載例」には、「他の機械設備と比較した結果、なぜこの機械設備を選定したのか
を記載してください、と書いてあります。
これに従えば宜しいかと思います。
②導入する機械設備について、価格面の妥当性
要は、最安値調達であることを示せば宜しいと思います。
面接審査について知ろう
あるコンサルタント会社は、面接審査の合格率は50%ぐらい、とアナウンスしていました。
正直なところ、何ともわかりませんが、昨年面接審査に出向いた企業様に面接会場の部屋数、待機企業数などから面接対象企業数を割り出し、採択者数から鑑みると、もう少し高いかな!! といった感じです
“”審査員は紳士的“”とは思わないでください。私の知っている方で、
審査員の1人から「こんな事業計画うまくいくはずがない」と言われたそうです。
程度の問題はありますが、こういった、批判的・感情的な発言も結構あるようですよ。
ここでは、こんな審査員もいる、こんな発言もある、ということを知っておいてください。
実際に、こんなことを言われたら、これは、質問ではありませんから答える必要はありません。
放っておきましょう。
オーソドックスには、
①事業課題の着眼・・・何を以って重要課題と認識したか、の細部を確認
②競合他社との差別化
➂市場動向、売上高・利益計画の数値の根拠
ここらあたりは押さえておくべきでしょう。
意外にも事業課題の解決策についての質問ってそんなになかったようです。
①~➂に共通していることは、一般論として、申請書(事業計画書)だけからは判断できない&はっきり書かれていない事項だからです。
肯定的に考えれば、この質問に明快に答えられれば、審査員としても『合格印』を押す大義名分ができるのです。
逆に、審査員の突っ込みどころ!! ズバリ、申請書全体を通して矛盾を感じるところです。
あそこでこういっているのに、ここで言っていることとニュアンスが違う、
これは、誰しもが突っ込みたくなりますよね!
ですから、本助成金の申請書に携わっていない社員さんにも読んでもらって、事前に“”あら探し“”をしてみてください。
そして、対策を企ててください。
次の①~④の方、危険ですよ!
①申請書の作成をコンサルタントに丸投げし作成してもらった方
②申請書自体をあまりよく理解していない社員に面接に行かせた方
➂審査員の質問に定量的・具体的に答えられなかった方
④質問の意図に合致しない回答をしてしまう方
①の「申請書の作成をコンサルタントに丸投げし作成してもらった方」は、
コンサルタントに代筆だけをお願いしたのであれば問題はないのでしょうが、
丸投げすることで事実とはかけ離れた事業計画になっているとしっくり答えられるはずがないですね。
あくまで解答は具体的に答えないと審査員に納得はしてもらえません。
②の「申請書自体をあまりよく理解していない社員に面接に行かせた方」は、
非常にもったいないですね。社長さんが面接に応じていれば合格していたかもしれませんね
面接審査の前日に社長様に急用が入ってしまい、急遽ベテラン社員がピンチヒッターで行くことになりました
でもこの社員は漠然としか内容をしりません。
お金を出す側の東京都は、社長様の日程まで考慮してくれません。
事務局の見解も、
●社長だけが判っている、社長だけで実施する事業計画なんて上手くいくはずがない
当然、社長以外にも当該事業計画を共有しているハズだ
●社長の都合といっても、本面接以上に重要なことがあるのか?
といった感じです。
➂の「審査員の質問に定量的・具体的に答えられなかった方」の
一番多いケースが、売上計画やコスト削減の効果についての解答のようです。
数字って、正しいかどうかまでは定かでなくても、リーズナブルかどうかは良くわかりますね。
売上計画を例に取ると、少なくとも「数量」×「単価」で説明できないといけませんね。
むしろ、数字の質問がきたらラッキーと思っていただきたいのです。
本来、一番答えやすい質問のはずですから
④の「質問の意図に合致しない回答をしてしまう方」については、
高額な補助金がもらえるかどうかの面接ですから、緊張するのは無理のないことかもしれません。
できれば、複数人で面接に臨みこれを避けるようにしたいものです。
また、質問に対して、まず結論を言う。次になぜなら・・・根拠を示す言い回しが良いかも知れません
冒頭で答えた結論が質問の意図を外していたら、審査員のほうから、質問の意図は・・・です、
と間髪を入れて下さるでしょう
このケースだったら、まだ“”勘違い“”で済むかもしれません.
事業計画書作りに役立つ経営雑学
中小企業の社長さんの「社長さんの会社の強みは何ですか」、と質問しますと、「技術力」とか「納期」とか答えてくれます。
では、「それをお客様がどのように評価してくれていますか」、と質問しますと、一寸、トーンダウンしてしまいます。
結局、評価してくれている結果として、適正価格で販売できているとはいい難いからです。
本補助金の採択レベルの一つが、適正価格で商売ができるビジネスプランが構築できるかどうか
だと私は考えています。
それでは、本題の『VRIO』について説明いたします。
事業機会に活かせるか?
Rarity(希少性)・・経営資源が市場において希少性があるか?
保有している企業は少数か?
Imitability(模倣困難性)・・経営資源はマネされにくいかどうか?
会社の変遷、ブラックボックス化、特許などの効力
Organization(組織) ・・経営資源を最大限に活かせる組織や
仕組み作りができているか
そうです。競争優位性の源泉は「Value(価値)」「Rarity(希少性)」「Imitability(模倣困難性)」「Organization(組織)」にあり、その頭文字をとったのがVRIOです。
まずは、みなさんの会社の『希少性』について探ってみてください。
事業の中身や製品・商品を細分化してみると、
●あっ、これはうちのほか数社しかできない。
●それは○○だからだ
この○○を駆使した新規事業、新製品・応用製品展開であり、そのために設備投資を実施、
ってことであれば、本助成金の事業シナリオが作りやすいですね
タイトルの冒頭にでてくる「革新的」とは、
①自社にとって革新的であること
②そしてそれが相当程度普及していないこと
と冒頭で申し上げました。
まさにみなさんの会社の希少性を活用した事業展開でしたら、
②の相当程度普及していない、にまさしく当てはまりますね
まずは、希少性を駆使した事業計画であることをしっかりと書き込んで見てください
つぎに『模倣困難性』について、会社の変遷、ブラックボックス化など
考えられるところをあたってみましょう。
ブラックボックス化については、まさに、職人芸・匠の技、みたいなものです。
これは、まさに、競争優位性の源泉ですが、きっとみなさんの会社でも、どうやって
次の世代に伝承させていくか、喫緊の課題ではないでしょうか
その伝承策をしっかりと書き込みましょう
『組織力』も競争力に大きく影響しています。
私も、中小企業の経営診断をさせていただいておりますが、
この会社の方針だったら、もっとここの部署をしっかり固めたら良いのにな!とか
△△ができないからこの事業はできない、でなく△△を外注先に委託してでも
この事業を取り込んだらよいのになぁ! とか思うことがしばしばあります。
申請書の項目「(ウ)組織面における現状分析・課題・解決策」のところで、
今後の事業展開においてどのように組織を活性化させるか、しっかりと記述してください。
革新的事業展開設備投資支援事業って設備投資に係る資金の一部を助成する制度なのにどうして知的資産経営が関係するの?
単純にこう思いませんか
ちょっと考えてみてください。
たとえば、同じ業種業態で同規模のライバル会社がいたとします。
そしてみなさんの会社と同じ設備を使って事業の拡充を図ろうとしています。
この会社に勝つためには何が必要でしょうか?
儲かる事業戦略を企てることと設備投資以外の武器を持って差を付けることではないでしょうか?
この武器が生産プロセスのノウハウであったり人的資源の有効活用だったりします。
そうです。これらを称して知的資産経営と言いますか。
そして、知的資産経営の計画書として事業者様が作成したものが「知的資産経営報告書」です。
これは、インターネットで簡単に検索できますので、是非、申請書(事業計画書)作成の際に、
言い回しなど参考にされたら如何でしょうか。
使えるものは何でも使いまわしましょう
せっかくの機会ですから、知的資産経営について学びましょう
知的資産経営とは何でしょうか?
経済産業省のHPではこんなふうに書かれています。
上図の丸い緑色が知的資産を構成する要素(アクティビティー)です。
これらがいくら優れていても、個々の力だけでは限界があります。これらを有効に組合せ、
●イノベーション能力、経験、学習能力、モチベーションなどの人的資産をブラッシュアップさせる
●組織の柔軟性、PDCA遂行能力、作業手順の仕組み、マニュアルなどの構造資産をブラッシュアップさせる
●企業イメージ、顧客満足度、銀行や顧客との交渉力、従業員満足度などの関係資産をブラッシュアップさせる
ことが知的資産経営です。
如何ですか。ふう~ん。 て感じではないでしょうか。わかるんだけれど、だからどうなの!!
と思われることでしょう。
私が考える知的資産経営の目的とは?
では、みなさんはみなさんの会社の「知的資産」である、人材、技術、組織力、顧客とのネットワーク、
ブランド力などの自己評価ができており、「強み」と「弱み」が明快に整理できていますか。
正直言って、「わからない」あるいは「強みなんてない」と答えられる方、私の目から見ると『正常』です。
だって“”人間は自分自身のことは7%しかわかっていない“という実証データがあるんです。
読者のみなさん、これを機会に上記の知的資産を棚卸してみませんか?
いまさら、こんなことをして何か良いことがあるの??と思われている方に、私が平素より言っていることがあります。
それは、『競争が緩やかで値崩れがない』こんなビジネスしたくないですか? です。
“”こんなうまい話、落語じゃあるまいし“” です。でも、これに近づけたいですよね!
そのために””かじったらいいな””と思うのが『知的資産経営』です。
これは、事業テーマの収益性を見るうえで、売上計画の根拠として、市場規模、市場予測データを拠り所として活用します。
逆に言えば、このくらいの売上漸増計画にしたい、といった目標から市場予測データを作ったりします。
ものづくり補助金と違い、革新的事業展開設備投資支援事業では、当該情報が必須となるわけではございませんが、エビデンスとして、申請書に書き込んだほうがGOODです。
この市場予測データは
①自社で調査したマーケティング情報
②業界誌やイWeb情報などの外部データ
の2種類があります。
①の自社で調査したマーケティング情報を持たれている中小企業はかなり少ないと思います。
ほとんどの方は②の業界誌やイWeb情報などの外部データを拠り所にするのではないでしょうか
ご参考まで外部データを収集するチャネルを紹介させていただきます。
a)業界団体が出展した定期刊行誌の例(送電線建設技術研究会)
これが入手できればピンポイントの情報が取れ易いですし信憑性があります。
b)経済産業省が出展したレポートの例
こんなデータが経済産業省のサイトから取れたりします。意外と狙い目です
c)調査会社が出展したレポートの例(総合技研㈱)
これがポピュラーな情報入手の例です。Web上から適当な情報が取れれば良いのですが、なかなかピンポイントには探しづらいです。
かといって、調査会社の技術情報誌を購入したら結構高くついてしまいます。
そこで、国立国会図書館に出向き調査会社が出版したレポートを探してみることをお勧めします
d)民間企業のリリースの例(キヤノン)
たとえば、下請け企業様でエンドユーザが大手メーカーなどである場合、
エンドユーザのホームページから情報を得ることも有効かも知れません。
その際には、投資家のみなさんへ〈IR情報〉➢〈決算説明会資料〉の手順でアクセスするして見てください。
うまくすれば、狙い通りの情報がとれるかも知れません。
まずは、申請書の様式を見てみましょう
そうなんです。
上記様式に数字を埋めて、更に収支計画に記載した売上高、営業利益等の各数値の計算根拠を示してして下さい
と要求されています。
先ずは、下表の様式で費目ごとに支出計画を整理し、売上高⊖総費用=営業利益と紐づけた方が通りが良さそうです。
その際に効率的に上表を埋めるために費用を変動費と固定費とに分けます。
そして、
①変動費は、売上高あるいは生産数比例で引伸ばします。
この例では、材料費と外注加工費・直接経費を変動費にしています。
②固定費は、各費目によって
a)売上増減率の3割を引伸ばす
b)完全な固定費扱い・・・各年度とも実績値の横這い
c)人件費は昇給率と人員増減から割り出す
d)減価償却費は、既存資産の償却費(定率法による自然減分を加味した)
に新規投資の償却額を加算して算出
とか、前提を決めて計算します。
ちょっと、難しかったでしょうか。こちらより 何なりとご相談下さい
ここまで、やっておけば充分です。
結構、細かなデータになりますので審査員も中身まで確認せずに納得するのではないでしょうか?
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