知っておきたい融資のあれこれ

▰ まずは資金調達について

まずは、資金調達について知っておきましょう。
資金調達は以下の2つに大別されます。

①株式発行により資本金(出資金)を集める(自己資本)
②銀行からの借入や社債の発行による調達(他人資本)

これはみなさん良くご存知ですね。

‘①の資本金は、②の借入金や社債と比べて
「返す必要のないお金」というメリットがありますが、
配当金を支払わなければなりません。

この配当金と②の借入や社債発行の利息を
「資本コスト」と言いますが、①の配当金のほうがはるかに高くつきます。

それだけでなく、会社経営にあまり参画していない株主からあれこれ言われ、
経営の舵取りに支障を来すこともあります。

そもそも、第三者から資本金を集められるのは上場会社であり、
一般的な中小企業ではかなり難しいのが現実です。

②の社債の発行ですが、これは、国でいえば国債のようなものを
会社が社債として発行し、銀行以外の方からも広く資金調達を行う方法です。
社債発行って大企業がやることじゃないの!

こう思っておられる方が多いことでしょう。
でも、中小企業でも手続きがそれほど面倒でない
「少人数私募債」で資金調達を行っている会社もけっこうもありますよ。

ちょっと形態が違いますが、「クラウドファンディング」などもあります。

タイトルが『融資のあれこれ』なのに、何で資本金(出資金)や社債、おまけにクラウドファンディングのことを言っているの? と思われていることでしょう。

中小企業にとって、借りやすさ、手続きの簡素さ、資本コストからして一番使いやすいのは『銀行からの借入(融資)』です。

でも、上述の「少人数私募債」や「クラウドファンディング」も使い勝手の1つです。

また、今は中小企業だけどIPO(株式新規公開)を経て行く末は大企業を目指したい方は株式発行による資金調達を目指したいところでしょう。

まずは、銀行融資一点張りでなく、社債、クラウドファンディング,IPOなど広い視野で資金調達を捉えていただきたいと思い冒頭でお話しさせていただきました。

これらも、使う場面が出て来るかも知れませんね!!

 

▰ 融資のあれこれ

これ以降は、銀行からの融資についてお話しさせていただきます。

銀行から融資を受ける。
つまり、貸し手と借り手の関係だ、と安易に考えないでください。

少なくとも銀行サイドでは一蓮托生のパートナーだと思っています。
だから、困ったときには相談に乗る! そう考えています。

ですから、「借りた後は何の報告もしない、
要求されるから決算書だけは送る、
困ったら融資の相談をする、 では円滑に取引が継続しません。

逆に、“”これでもか“”と思われるくらいみなさんの会社のことを発信してください。
本サイトでも銀行との関係性強化、そのための『報連相』のしかたを紹介しています。
まずは、ここをしっかりと押さえて下さい

 

▮ 銀行のタイプ

それでは広義の銀行について見てみましょう。

都市銀行・大手地方銀行は、信用力の高い中堅・大手企業、
あるいは中小企業の中でも海外進出企業への融資を主に行っており、
比較的低金利で貸し出しています。

また、一番下の商工中金も主に中堅企業・組合を対象に融資を行っています。

そうなると、中小企業の味方は、民間の銀行の中では、
「中・小地方銀行、信用金庫、信用組合」、政府系金融機関としては、「日本政策金融公庫」ということになります。

ただし、民間の銀行にとって信用力の乏しい中小企業には正直言って貸しづらいものです。
そこで登場してくるのが民間の銀行と事業者をつなぐ信用保証協会の存在です。

 

▮ 信用保証協会保証付融資

信用保証協会は日本政策金融公庫と同様の公的機関であり、債務者(事業者)が返済不能に陥った場合に債務者に代わって銀行に代位弁済を行う機関です。

これにより、銀行が中小企業に貸しやすくする役割を担っています。
また、これに地方自治体が利子補給を行う「制度融資」というものがあり、中小企業にとってはありがたいものです。

ある信用金庫に確認したところ、そこでは中小企業向け貸付けの80%が「保証協会保証付き融資」でした。
そして、銀行のプロパー融資と同様に信用保証協会の審査も厳しいですが、一寸審査の視点が違います。

まずは、信用保証協会事業の基本理念について確認しましょう。

『信用保証協会は、
①事業の維持・創造・発展に努める中小企業者に対して、
②公的機関として、その将来性と経営手腕を適正に評価することにより、企業の信用を創造し、「信用保証」を通じて、金融の円滑化に努めるとともに、
③相談、診断、情報提供といった多様なニーズに的確に対応することにより、中小企業の経営基盤の強化に寄与し、
④もって中小企業の振興と地域経済の活力ある発展に貢献する』

とのことです。

もちろん、過去の経営実態・決算書の中身は重要視しますが、将来性と経営手腕を適正に評価し保証を実施するとのことです。
したがって、明快な事業計画書の策定と経営改善(PDCA)の実践が肝です。

保証制度は、創業者のための融資保証、一時的に経営苦難に陥っている会社のセーフティーネット保証、新たな事業に取り組む会社の経営力強化保証、など多岐に亘っています。

詳細は以下をご覧ください

東京都制度融資一覧

協会制度一覧

意外に思われるかもしれませんが、左グラフに示すように保証残高は減っているのです。
ある金融機関の方に確認したら。最近は保証協会の方が営業?にこられているようです。

正しく捉えれば、過去の財務状態は芳しくないが将来に向けて実現確度の高そうなビジネスプランを持っている企業に融資の手を差し伸べたい、との理念に基づくものでしょう。

だから、もっともっと有効に使ってもらいたいとの思いで民間の金融機関にアプローチしているのだと推察します。
是非、こうあってほしいものです。

ですから、製造業経営者のみなさんも、一度銀行から融資を断られたにしても安易に諦めないでください。
将来性と経営手腕(PDCA)、これを信用保証協会にきちんと示しましょう。

当センターでもこれらのサポートを惜しみなく実行しています。

 

▮ 日本政策金融公庫からの公的融資

そもそも、日本政策金融公庫と民間の銀行との違いは何でしょうか。
日本政策金融公庫も貸金業です。正式名は株式会社日本政策金融公庫です。
政府出資100%の株式会社なのです。

違いというよりかは、日本政策金融公庫の特徴として以下の点があげられます。

 

①民間の銀行で融資が難しい分野の融資を実行する(創業融資など)
②国の政策目的に合致した融資を実行する

●新事業活動促進資金、
●中小企業経営力強化資金
●海外展開事業再編資金
●経営環境変化対応資金(セーフティネット)

新事業活動促進資金については「経営革新計画」の承認などが条件となり、
また、中小企業経営力強化資金については「経営革新等認定支援機関」の指導や助言が必要となります。

 

日本政策金融公庫では将来の計画を重視するので、
経営計画書を用いて将来の成長性を中心にアピールことが重要です。

変な話ですが、経営計画書も公庫の様式を参照しないことをお勧めします。
私が見てもこれで審査ができるのか不思議に思います。
様式にとらわれず、みなさんの会社にとってのアピールポイントを存分にPRしましよう。

日本政策金融公庫の融資制度はこちら
をご参照下さい

 

▮ 中・小地銀、信用金庫、信用組合のプロパー融資

特にここでは信用金庫の融資動向について紹介させていただきます。

正直いって、日本政策金融公庫と比べると過去の財務数値を偏重する傾向にあります。

また、会社や経営者の資産余力、代表者の経営能力や人間性、も重視します。悲しいかな、現状では、将来計画の有無・内容については、過去の財務数値や会社の資産力よりも軽視されているのが融資姿勢の現状です。
ここは、素直に受け止め利益を確実に計上できるよう経営改善を進めましょう

当センターでも製造業の経営改善の旗振り(PDCA)の励行を応援しています。

ここで、信用金庫の本音を知っておきましよう。
信用金庫の預貸率は平均で50%ぐらいです。つまり、預金者から集めたお金の50%しか融資に回せていないのが現状です。
厳しい審査をしますが、本音はもっと貸したいのです。
付け加えれば、プロパー融資で利息収入を得たいのです。

財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、取引先企業の事業内容や成長可能性など
「事業性評価」
に基づいた融資をもっと積極的に行いなさい!! と金融庁からお触れが出ています。

各行とも前向きにその体制を整えようとされているみたいですがまだ時間が掛かりそうです。
これが整えば、もっと将来性を吟味したプロパー融資が増加することでしょう。

ただし、民間の銀行からすれば、将来性を訴える事業計画は立派でも、
果たしてみなさんの会社でこれを成し遂げられるだけの実行力があるのか、
ここを重視します。

そのためにも経営改善活動(PDCA)を継続実践しこの姿を見せるとともに、
定期的に事業状況についての「報連相」を行うことが肝要です。

 

▮ 民間の銀行&信用保証協会と日本政策金融公庫は敵対関係なの?

正直いってライバル関係にあるかも知れませんが、協調もしています。

たとえば、大口の設備資金の融資申請が民間の銀行にあった時に、
1行だけではリスクが大きすぎるので日本政策金融公庫にも一部の融資を肩代わりしていただき、リスク分散を図るケースも多々あるようです。

また、信用保証協会では貸倒れリスクを回避するために信用保証保険に加入しています。
この保険付保先が日本政策金融公庫であり、こういった関係で成り立っています。

 

▰ 銀行の実情とは

銀行に対して過度に「憶病・怖がり」であったり、
「敵対視・不信視」していたりする企業を見かけることがあります。
特に後者は、事業がうまく行っている時は「借りてください」の一点張りであったのが、事業が低迷したとたん、
融資不実行はおろか話すら聞こうとしない、

こんな銀行を指して敵対視するようになるのではないでしょうか

銀行に対する、「憶病・怖がり」・「敵対視・不信視」の呪縛からみなさんを解き放つために、銀行の実情を知りましょう。

 

その1 融資担当者はとにかく忙しい

渉外・融資担当者はとにかく忙しい。
Netでもこのような記事は散見されますし、私自身も体感しています。

融資営業・相談、経営相談、返済猶予相談、経営改善計画の履行状況確認,
事務処理、担保物件の確認等業務が多岐にわたっていることと
過去のリストラクチャリング、更に銀行統合などからのようです。
最近、銀行員さんがうちの会社に来なくなった、けしからん!
と、敵対視している経営者様を良く見かけます。
気持はわからない訳ではないのですが、ここは、一寸、銀行の実情を理解しましょう。

また、このように思われている方は1行取引、あるいは、メインバンクにかなり依存しているようです。
これが決して悪い訳ではありませんが、会社の規模、会社の状態によっては複数行取引が有効かもしれません。
(簡単なことではありませんが)

とりわけ、製造業においては、製品開発投資や設備投資を計画的に実行していかなければ生き残っていけません。
銀行とは強いパイプでつながっている必要があるのです。
従って、「融資担当者はとにかく忙しい」ことを理解し、
みなさんのほうから、月次の業績報告会などを開催し実情を示しその後の訪問を促しましょう

 

その2 銀行の本音は貸したい


みなさんの頭の中に「貸し渋り・貸しはがし」という言葉があるのではないでしょうか
当然のことです。バブル崩壊の後、しばらく続きました。
昨日まで、「借りてください」と言っていたのに、
急に「貸せません」と言ってきたのです。

民間の銀行の中でも地域密着型の信用金庫の「預貸率」
(預金者などから集めた資金のうちどのくらいを貸し出しているか)
は、概ね、50%ぐらいです。     少ないな!と思われたのではないでしょうか

貸して利息収入を得て生計を立てるのが銀行ですから、もっともっと貸したいのです。
貸したお金に確実に利子を付けて返してくれるところに貸したいのですが、
財務諸表が安全で担保余力も充分な会社がそうそうあるわけではなく、
貸付先の選定に苦慮しているのです。

でも、これについて「仕方がない」とは思っていないのですよ

金融庁からも、財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、
取引先企業の事業内容や成長可能性などを適切に評価して融資を行いなさい!!
といったお触れが出ています。これが「事業性評価」です。

残念ながら、金融機関では、成長の可能性を客観的に評価するノウハウが、今現在整っていないのです。
従って、みなさんのほうから、今、こんな収益改善に取り組んでいる、将来に向けてこんなビジネスプランを企てている、
といった情報を提供し味方につけることが大切です。

逆に、これを自発的に行うことで、今までは叶わなかった融資が可能になることは充分あり得るのです。

 

その3 融資担当者は審査への架け橋

いくら明快なビジネスプランを準備していても、融資担当者が審査会の場でうまく伝えてくれるかどうかで融資が決まってしまいます。

また、審査担当者・責任者がみなさんの会社に来てお話しを聞いてくれる機会を融資担当者に仲介していただくことも重要です。
審査会を待たずして、審査担当者・責任者の頭の中にインプットされるからです。
ベテランの経営者様の中には、若手の渉外・融資担当者を下に見た態度を取られる方がおられますが、ここはひとつ大人になって良い関係性を築くことに注力してください。融資担当者は融資を引き出すキーマンです。

銀行に対して過度に、「憶病・怖がり」な経営者もおられます。
こういった方は、会社の現況を報告することでかえってマイナスになってしまわないか、と思ってしまうことでしょう。

決してそんなことはありません。なぜなら、貸付先候補の中から貸付先を振るいにかけているわけではありません。
貸せるところには貸したいのです。

親身に「報告・連絡・相談」を行うことで、きっと、
マイナスと思っていることについてはプラスにつなげるアドバイスもしてくれることでしょう。