ものづくり補助金採択までのステップ

ものづくり補助金ー採択事例

ものづくり補助金の直近(14次締切分)の採択率は約5割です。
ただし、過去には2割と厳しかった時もありました。生涯の総平均値は4割程度でしょう。
ここから言えることは、誰にでもチャンスはある、でもそこそこ難しい、
こういった補助金、と言えるでしょう!

採択される事業計画書を作るためには、Q(品質・性能)C(コスト)D(工期)
の弛まぬ挑戦が肝要です。

そのために、当事務所で支援させていただいた方の「採択までのステップ」を
ご参照いただければ幸いに存じます

採択される事業計画書はこのようなステップを経て完成した

こちら、設備投資補助金のロングセラー、ものづくり補助金の採択までのステップ紹介です。

改善の4原則と言われる「ECRS」*注釈は後述
に則り生産性向上を実現させた「すべての申請に通ずる」事例です

会社のあらまし

事業内容:機械加工部品の受託生産(従業員12名)
業績:設備産業の好調さに連動し増収増益
強み:優良顧客の確保・・・顧客評価は品質(ここ数年返品がない
弱み:設備投資をここ数年行っておらず、生産能力(切削)が飽和状態
機会:半導体産業の好調性
脅威:上げ止まり感あるも原材料費の高騰、加工賃値引き要請圧力向上

経営者の思い

①生産能力を増強させたい
②過重労働を払拭し、残業削減、年休取得の定常化を図りたい
そのために設備投資をしたい

以上が、最初のミーティングでの回答でした。
極端に優れたところも無さそうだし、極端に悪いところもない。
つまり、これといった事業テーマが浮かばない状況でした。

私からの質問とその回答

①顧客評価の証明
・・・幸いなことに品質面での表彰をお客様より数回受けており
「強み」の証明になることを実感しました

②原材料費のコスト削減について
・・・特段実施していない、とのことであった。
複数社からの調達による価格牽制も社内に余力なく難しいとのこと。

他方、新規の部品製作において、お客様より素材の選定など相談を
受けているとのことでした。

⇒これも「強み」の記事として活用しよう、と決めました。

③過重労働を払拭し、残業削減、年休取得の定常化を図りたい、
これに対する推進策について確認したところ、
ここが悩み処、源流対策が思い浮かばない、とのことでした。

纏めると、

①小規模下請け製造事業者としての強みは相応に持たれている。
それにより、お客様との信頼関係が築け、受託量が増加している。

②現下の経営者の思いに対し、具体的推進課題が顕在化していない。
であれば、徹底的な「ムダ取り」から、切り開いていこうと考える。

実施内容

まず、ご依頼者様に、詳細の「工程フロー』「各工程の作業フロー」を書き出していただきました。
(とてつもなく細かくあらいだしました)

今回導入する設備を使用する工程は、作業の流れが当然変わります。

そこで、改善の4原則「ECRS」の型を用い、以下の切り口から、
作業の見直しを行いました。

私も、以前からここに着眼し改善のサポートをさせていただいておりますが、
今回ほど力をいれて実施したことはありませんでした。

E(Eliminate):無くせないか
C(Combine):一緒にできないか
R( Rearrange):順序を変更できないか
S( Simplify):単純化できないか

結果として、今回導入する設備を使用する工程はもとより、
その周辺でいろいろと合理化できるネタが発見されました。

そうすると気になるのが、今回導入する設備を使用する工程やその周辺工程
は良いのですが、その後に「ボトルネック工程」が生じてしまいます。

実際に存在し、ここについては、人員のシフト、多能工化による解決策を
練ることにしました。

機械装置の導入で人手作業の作業工程が廃止になります。
これにより第二のボトルネック工程に1名を異動させることで、7割方解消できる見通しを得ました。

そして、次に考えたのがCAD/CAM連携によるプログラミングの廃止でした。
ところが、親事業者から送られてくるCADデータに不備がありすぎて難しいとのことでした。
こちらも、しっかりと書き込み良い意味で言い訳するよう助言しました。

最初はなかなかECRSの改善テーマが浮かびませんでした。
なぜなら、加工そのものを対象にしていたからです。

そこで、加工以外の付加価値を生まない工程に目を向けると、
洗浄工程の統廃合ができそうだとの結論にいたりました
(品質保証員も洗浄条件を変えることで統廃合が可能、との見解でした)

何よりも、効果が大きかったのは、各検査項目における工程完成検査の廃止と
最終出荷検査への集中化、そして検査の深さ自体の見直しでした。

また、価格に応じた検査スペックの適用について、
私の方から提案させていただきました。

やはり、ECRSこれは自社のオリジナルメソッドですから、
革新性の訴求はしやすいと思います(あくまで、斬新性と効果次第ですが)

そして、手前味噌にはなりますが、ご依頼者様と共作した新旧工程フローチャート
比較図はまさに「芸術品」と自負しております。

いかがでしたでしょうか