必携ー事業承継の首根っこ その1

みなさんこんにちは。
今回からは『事業承継』について筆を執らせていただきます。

ちなみに私は、社長様のスタッフとして各専門家と事業承継の進行を調整する
パートナーです。

目次

中小企業にとってどうして『事業承継』が重要なのでしょうか?

事業を承継するとは、平たく言えば、社長の座と株式を承継することです。

大企業の場合には、大半は「雇われ社長」ですから社長の座は承継しても
株式(議決権)の承継はほとんどありません。
つまり、人事異動の延長のようなものです。

 

将来の社長候補者は計画的に英才教育を受け、キャリアもそれなりに
積まれた方が複数名おられますので後継者の選定にさはど苦労はしませんし、
「株式の承継」といった煩わしいものもありませんので、中小企業ほどの
一大イベントではありません。

それに引き換え、中小企業の事業承継とは「社長の座」と「株式」を引き継ぐものです。
株式の承継の際の資金手当・相続財産の適正分配・株式保有割合の適正化や
後継者の選定・教育に苦慮するといったことでなかなか一筋縄では行きません。

だからこそ、計画性を持って『事業承継』に取り組んでいくことが重要なんですよ!

社長様の相談相手が身近にいるようでいないのが事業承継!!

身近に相談相手がいないことで、以下のようなことに悩まれ事業承継が後手に回るケースが多いようです。

●親族内や従業員の中に適任後継者がいない。
たぶんこれが究極の悩み事ではないでしょうか。銀行員や税理士さんなど意外に身近な人に相談できないんですよ。なんと言っても「事業譲渡」ってなんか薄気味悪いですよね。
●息子がいつになったら一人前になるか心配
身内に後継者がいること自体恵まれているのですが社長様からすればいつまでも不安ですよね。後継者がいつまでに経営ノウハウを吸収してくれるかだけでなく、古参社員の扱いなど
人事を動かせるか!気になりますね。
●バトンタッチするにしても業績が芳しくない
やはり、もっと利益の出る体質にして借入金をある程度までに減らしてバトンタッチしたいですよね。でもこれを考え出してしまうとなかなか前に進まない。後継者にも相談したいが切り出せない。

ここらあたりが、実体として社長様お一人で悩まれているのではないでしょうか!

以前に銀行員や税理士さんに相談したけど力にはなってくれなかった!!
と言われる社長様が結構いるんですよ。

当然です。銀行員や税理士さんは事業承継のプロではないからです。

1つアドバイスですが、巷ではどこかでかならず事業承継のセミナーを実施しています。
セミナーでは必ず個別相談会がありますので是非活用してください。

国も『中小企業の事業承継』後押し、その情報をキャッチしよう!

そうなんですよ! 国もいろいろと施策を考えてくださっているんですよ!
なぜなら、中小企業の場合、高い技術力があっても事業承継に躓き廃業に至る
なんてケースが結構あるんです。これは、日本にとって大きな損失です。
だから国が動き出しているのです。

その最たるものが、平成30年度の事業承継税制の大改革です。


・株式承継に係る相続/贈与税の猶予割合拡大
・猶予継続の雇用要件弾力化

などで、使い勝手が格段に良くなりました。

詳しくは、 コチラ ご参照ください。

事業承継補助金も充実されています。

廃業登記費・在庫処分費解体費および処分費・現状回復費が補助の対象になるのがありがたいですね。
この費用が重くて現業を止められずに新規事業に踏み切れない方が結構多いんですよ!
詳しくは、 コチラ ご参照ください。

MBO、M&Aなどの親族外承継を「事業引継支援センター」がサポートしています。

現在、息子などにバトンタッチする親族内承継は35%に過ぎず、
残りの65%は、MBO、M&Aなどの親族外承継です。

MBO(Management by out)とは、役員や従業員が跡目を継ぐことです。
役員や従業員のポケットマネーで全株式を買い取るのは難しく
銀行やファンド会社から資金調達を仰ぐのが一般的です。

M&Aは、買収・合併を指しますが、売り手からすれば、事業あるいは株式を第三者に
譲渡することでを事業を承継することです。

これらの手続きは決して易しいものではありません。そこで力になってくれるのが
公的機関である「事業引継支援センター」です。

事業承継遂行における留意点・推進課題

ここに書いてある選択肢の中に「自主廃業」はございません。
したがって、業績が好調で特段将来不安視される要素のない企業を対象にしています。

確かに、事業承継が思うように進まない理由に「将来が不安だから」が上位に来ていますが、この対策は事業再建であり、本筋の事業承継の課題に対するものとは違うからです。

さて、上の絵を見てみましょう。

事業承継の類型としては、概ね、「親族内承継」「MBOによる役員や従業員への承継」
「役員・従業員の譲渡先転籍を前提としたM&A」に分類されます。

総じて、親族内に後継者候補がいてその方が相応の資質を持っている場合には、比較的
順調に事が進むかもしれませんが、それでもいろいろと課題はで残ります。
これが事業承継というものです。

それでは、この3つの類型のメリット・デメリットを以下に示します
(公的機関の「事業引継支援センター」のホームページより引用)

 メリット  デメリット
 親族内承継 ①あらゆる面で、心情的に受け入れやすい。
②相続による「財産権」の承継ができるので、コストが少なくて済む
①心情に負けて、経営者としての資質がない後継者に任せてしまいがち。
②兄弟がいる場合など対立が生じやすい。
③近年は承継辞退(子供が継ぎたがらない)も多い。
 MBO:役員・従業員へ承継 ①後継者候補の数は増える。従業員以外に、同業他社からの採用や異業種からのヘッドハンティングも検討できる。
事業をよく知っているので引き継ぎ易い。
①従業員から承継する場合には、経営者としての資質が問題になる。
②多くの場合、後継者候補には、承継する会社の株式を買い取る資力がない。
③現在の社長の個人保証が肩代われず個人保証が抜けない、可能性がある。
 M&A:第三者へ承継 ①より広範囲から的確な会社を選択できる。
②会社の売却で多額の現金を得られる可能性がある。
①希望に合う相手を見つけるのが難しい。
②仲介会社への報酬負担が必要となる

親族内承継

メリットに書いてある①あらゆる面で心情的に受け入れやすい、これはその通りです。
ただし、デメリット①心情に負けて、経営者として資質がない後継者に任せてしまいがち、 にも十分留意を払ってください。

ここで言いたいことが3つあります。

後継者は血筋より資質が優先する。

社長さん! ここは非情になってください。

また、兄弟二人が社長さんの会社で働いている場合はあまり適正を考えずに長男を後継者に指名するケースが往々にしてありますが、ここでもビジネスと割り切って適任者を後継者に据えるべきです。

 

また、どちらも後継者の資質が遜色なく、会社の規模も相応の場合には、
分社化して両人を後継者に据える手も有ります。

これは、事業の縦割りで分社するケースもあれば、子会社を設立して、
1部分(例:製造だけを扱うとか)両人を経営者に据える手もあります。

後継者としての資質の判断において、社長様の力量と比べすぎてはいけません

これでは、いつまでたっても親族内承継は進みません。
将来の伸びしろも意識して資質を判断することです。
そのためには1つ何らかのプロジェクトを立ち上げこれを任せるもの
良いかもしれません。

実際にあった話ですが、補助金申請の一切を任せた社長さんがいました。
私もサポートさせていただきましたが、見事後継者の力量で採択され、
これが社内でも評価され従業員様もこれを契機に一目置くようになったみたいです。

株式承継の資金面での効果

メリット②の相続による「財産権」の承継ができるので、コストが少なくて済む、
のところです。 ちょっとわかりづらいですね。

例えば、MBOの場合、後継者は株式を買い取らなければなりません。それと比べれば、
身内は相続・贈与で済むので、コストが少なくて済む、と言うことです。

ただし、相続税あるいは贈与税がかかり株式の評価によっては決して安いものではありません。

でも、平成30年度の税制改正でこれら税の免除が高い確率で可能になりました。
そのためには、平成35年3月31日までに『特例承継計画』を作成し、平成39年12月31日までに実際に事業承継(後継者が代表者就任、後継者が筆頭株主)を行うことが必須です。

詳しくは、 コチラ ご参照ください。

MBO:役員・従業員への承継

みなさんにとってMBOとはあまり聞きなれない言葉のことでしょう。

要は、役員・従業員が株主である社長様とその親族などから株式を買い取り
独立するものです。

正しくは、役員クラスの独立についてMBOと称し、従業員の独立については
EBO(Employer by out)と言います。

よく使われるスキームは、社長さんの本職ではない事業体を切り売りする、
でも、そこは役員や従業員に担ってもらい事業を続けたい、
こんなところが主です。

これが、役員や従業員に事業を承継する際のスキームとしても使われる
ようになったのです。

課題は、何といっても役員や従業員さんは社長様やその一族などから
株式を買い取る資金力に乏しいため、そこをどうするかが大きな論点であり
場合によっては、相変わらず社長さんのお力を借りることにもなります。

後継者候補が複数人の中から選択できる

これは、1つのメリットです。場合によっては、同業他社からの受入や
ヘッドハンティングなどの選択肢も生まれます。

でも、企業文化の継承や異動する従業員のことを考えると自社の役員・従業員様
に引き継ぐことが、円滑に承継後の事業が回るのでベストのようです。

ましてや、M&Aと比べ、従業員を異動させやすい、雇用を継続させやすい
ことが何よりです。

課題はなんといっても、役員・従業員の株式買取資金をどうするか?

前述の通り、多くの場合、後継者候補に株式買取資金がありません。そこで、以下の3点の方策が考えられます。

 

 

後継者が銀行から借り入れ買取資金を確保する

いちばん素直なようですが、

①銀行が役員・従業員といった個人に果たして貸してくれるか
②後継者候補の役員・従業員が借金をしてまで事業を引き継ごうと思うか?

ここらあたりが課題となりそうです。

会社が銀行から借り入れ会社が後継者候補の役員・従業員に貸す

これは、上述の①銀行が役員・従業員といった個人に貸すよりかは

会社に貸すほうが銀行としては貸しやすいかもしれません。

その代わり社長さんに保証人の役目が回ってきそうですね。

また、後継者の役員・従業員にとって株式価額によっては、
一生掛かっても返済できない金額かも知れません。

ちょっと難しい持ち株会社の設立

持ち株会社とは、いわゆるホールディングカンパニーのことです。この流れは、

①後継者の役員・従業員がホールディングカンパニーを設立し筆頭株主となる
②このホールディングカンパニーが銀行から株式購入資金を借り入れる
③社長さんやその一族などの株主が、ホールディングカンパニーに株式を譲渡する。
したがって、今の会社の株主が当該ホールディングカンパニーとなり、
当該ホールディングカンパニーの代表者(筆頭株主)を兼務する後継者の役員・
従業員が現会社を支配する。
④現会社は当該ホールディングカンパニー(株主)に配当金を支払い、
当該ホールディングカンパニーはこれを原資に銀行へ借入の返済を行う。

何か、わかるようでしこりが残る話です。

問題は、

・現会社は配当金を支払わなければならい
・ホールディングカンパニーはの事務経費が発生する
・後継者の役員・従業員は当該ホールディングカンパニーの借入金の
保証人にさせられる可能性がある。

こんな反動がありますが、このスキームはそこそこ採用されていますので
是非、押さえておいてください。

また、ホールディングカンパニーは親族内承継でも使われるスキームです。
おもに、相続の際の株式分散を回避させる施策として使われます。

ファンド会社に資金スポンサーになってもらう

これは、今までの話に比べると現実味が薄いかもしれません。
なぜなら、ファンド会社の目的は、資金を出して、事業価値を向上
させ、取得株式を売りぬく、すなわちIPO(株式上場)だからです。

実は、私も以前にMBOのこのスキームに絡んだことがあったんです。

以上、長々と役員・従業員への承継について述べました。

でも、論点は2つです。
①適格な後継者を役員・従業員から選定する。しっかり教育する。
②適格な後継者の資金負担の最善策を考案する。

知っておかなければならないことがたくさんありそうです。

親族内に適任者がいなければ、次に考えなければならないのが、
このMBO;役員・従業員への承継です。

是非、「事業引継ぎ支援センター」、銀行、税理士、商工会議所
などに相談してみてください。

M&A:第三者への承継

これは、上述の通り、メリットは、

①より広範囲から的確な会社を選択できる。
②会社の売却で多額の現金を得られる可能性がある。

デメリットは、

①希望に合う相手を見つけるのが難しい。
②仲介会社への報酬負担が必要となる

です。

いずれにしても、会社を残したい、でも後継者候補が親族内、
役員・従業員の中には適任者がいないとなれば、M&Aを通じて
第三者に事業(株式)を譲渡し、暖簾を守っていくしかありません。

当然に覚悟しておかなければいけないのが、体力が必要に
なるということです。

時間も1年とか掛かりますが、親族内・承継でこれから後継者を決め
教育していくことを考えたら、この1年はある意味短いのかも
しれません。

M&Aの買い手がほしいもの

社長さんと逆の立場である買い手がほしいものは

①顧客リスト
②みなさんの会社のノウハウとインフラ
③掛けずに済む時間

です。

 

言い換えれば、事業拡張、あるいは、異分野進出のために、みなさんの会社の
顧客リストとノウハウとインフラを時間をかけずに取得したいのです。

ですから、買い手のほしいものがみなさんの会社に備わっていると良いですね。

これからM&Aのレインズが整備されてくる

レインズとは不動産流通標準情報システムのことでで、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピュータ・ネットワーク・システムの名称です。

つまり、不動産の売り案件と買い案件のシンクタンクのことです。

これがM&Aの案件でも整備されてきそうです。

これが整備されてくれば案件探しがスムーズに進みます

折れない心、これが何よりも重要です。

M&Aは非常に体力を使います。みなさんも「ファイナンシャルアドバイザー」
に助言と実務処理をお願いするかとは存じますが、みなさんも相応の体力を使います。

ですから、途中で投げ出す人が結構多いのも事実です。

でも、残された従業員のこと、社長さんの引退後の生活設計を考えると
決めた以上はここで投げ出し廃業させるわけにはいきません。

折れない心を持ってください。

そのためには、しっかりとした目標を持つことです。

例えば、株式の売買は純資産⊕@で良いから、異動希望の従業員はの一人残らず
受け入れていただく、とかです。

株式の価値はどのように決まるの

一般的には、

①純資産法・・・決算上の純資産(資産ー負債)を基に資産を時価をに置き換えにたり、
過去の不健全事象(あれば)を改め補正したもの

②マルチプル法・・・平たく言えば、同種同業の類似企業とみなさんの会社の業績を
くらべて株式価値を算定する方法です。

一般的には1株あたりのEBITDA(営業利益+(減価償却費)
を比較媒体とすることが多いようです。

③DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法・・・将来の入金ー出金=キャッシュフローから事業リスクをディスカウントし株式価値を求める方法

の3種類があります。

買い手にとって一番関心があるところは、③のDCF法です。
なぜなら、””買い取ることで将来いくら儲かるの”””これが関心処だからです。

でも、これは、事業計画(収支計画)を作らないと算出できないので厄介な作業です。

単に数字を出すだけでなくその根拠を示さなければなりません。

また、①の純資産法はあくまで過去の結果でしょ!ということから、こ
れで売買価額が決まることはめったにありません。

②のマルチプル法は①の純資産法より未だ信憑性があります。

したがって、株式譲渡価額の目標を持つには、
②のマルチプル法での株式価額を押さえて置くことをお勧めします。

ファイナンシャルアドバイザーや税理士さんにお願いすれば
さほど時間がかからずやってくれるはずです。

M&A遂行の留意点

1つ目は、特に、開始時期、社内での動揺を発生させぬよう秘密裡に行わなければ
なりません。

ということは、限られたメンバーで専門職以外の業務をこなさなければならない
こともあります。

また、書類や電子データの保管、取扱にかなりの留意が必要です。

私も、会社員時代にこれに相当神経を使いました。
特に、これに関連したメールの配信にはかなり注意しました。

2つ目は、契約締結です。これはもう、弁護士さんにお願いするしか
ないと思います。

如何でしたでしょうか。

先ずは、いつ、だれに、なにを、、どのように承継するのか
後戻りするようですが、なぜ承継するのか、

この骨子をしっかり意志固めを行うことが肝要です。

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