事業性評価融資―真の主役は誰

▮開かれた金融庁
事業性評価の実現性を知るには、まず、金融庁の大改革を知ることです。
平成26年9月新任金融庁長官森信親さんが大なたを振るいました。

それまでの金融庁は、金融機関に対して不良債権処理と貸出規制の強化を狙いとし、金融検査マニュアルに従った運用を押し付けていました。

まさに、半沢直樹の1フレーズ「銀行は絶対につぶれてはいけない」をこのような形で指導してきたのです。

日本の国策としての代表的なものが「地方創生」です。
これには、官民一体となった地域産業の維持発展が必須であり、特に、中小地銀・信用金庫・信用組合(以降、これらを「銀行」と言う)の役割が重要になってきます。

つまり、銀行は、自行の保守的施策よりも地域発展への貢献を重視しなさいとのことです。

金融庁が銀行に対し発したお触れは、
①決算書の内容や保証・担保だけで判断するのではなく、事業内容や成長可能性等も評価して融資を行うこと
②企業 の経営改善・生産性向上等の支援に積極的に取り組むこと

でした。つまり、融資の審査基準に将来の事業の成長を加味するだけでなく、経営改善等のコンサルティング機能を発揮するよう、お触れを発しているのです。

そして、これらを「金融仲介機能」の「共通ベンチマーク(指標)」として設定し、地銀、信金、信組間のレベリングを図ろうとしています。

とにかく、森信親長官や外部より招聘された金融庁でなく)メンバーの本気度は半端なく高そうです。

▮相も変らぬ銀行の運営(あくまで総論です)
銀行の貸出スパイラルについて考えてみましょう

①財務状態が優良な「成長」・「成熟」課程の企業には「借りてください」と言わんばかりにどこもかしこも貸したがり、低利率競争に陥っている。

②業績や信用力に乏しい、担保も十分でない企業に対しては、信用保証協会保証付き融資に依存する。

責任共有制度に移行しても、銀行としては20%の貸出リスクを負えばよいので、信用保証協会の承諾を得ることへのサポートに注力するようになる。

したがって、本来、銀行員が具備すべき、a)事業の実態を把握する力、b)貸出先企業への助言能力、c)地域発展への貢献力が次第に失われていった、と言われています。

③過去のリストラクチャリングによる銀行員削減と②の銀行員スキルの低下で、業績や信用力に乏しい、担保も十分でない、信用保証協会の承諾も侭ならない企業に対して、「事業性評価」に基づいた融資の体制がなかなか整わず、これが一向に進まない。

それ以前の問題として、回収の可能性が自分たちで読めない企業に対して、融資を敬遠する風潮から脱皮できていない。

④これらより、銀行において、自行で優良貸出先企業を発掘することができず、各銀行とも、一部の財務状態が優良な信用力の高い企業への貸し出しに集中し、低金利戦争が一向に終わらず、未だ「負のスパイラル」から抜け出せていないようです。

ただし、全ての銀行が、このような状況下にあるわけではありません。

地方の地銀や信金の中には、今後の人口減少による地域経済の貧困化を憂い、事業性評価融資はもちろんのこと、企業の経営改善・生産性向上等の支援に積極的に取り組んでいるところがあります。

きっと、金融庁でもこれらの先行した銀行の取組みを標準モデルとして全銀行のレベルアップの舵取りを進めることでしょう。

更に、銀行と信用保証協会の責任共有制度について、現状は、銀行は20%のリスクを負えばよいのですが、信用保証協会は80%のリスクを負います。
これが、近い将来、50%:50%になるだろうとわたしは睨んでいます。

以前から、このことは討議されており、銀行が事業性評価の責務を負うことに伴い、加速することが充分考えられます。
そもそも、共有だったら、50:50が正常のようですよね。

したがって、銀行員に、事業の実態を把握する力、貸出先企業への助言能力を持たなければ高まるリスクを克服できず、今後、融資先の維持増加は見込めません。

▮事業性評価融資―真の主役は誰
今までのところを復習してみましょう

①金融庁は銀行に対し、
●決算書の内容や保証・担保だけで判断するのではなく、事業内容や成長可能性等も評価して融資を行うこと
●企業 の経営改善・生産性向上等の支援に積極的に取り組むこと、
について要求している。

②銀行も、過去の決算数値や担保余力が芳しくなくても、将来の事業の可能性を秘めた企業に対して、目利き力と助言能力を養うことで融資を実行していかないと生き残れないことを認識している。

③しかしながら、過去のリストラクチャリングによる銀行員の負荷の増大やa)事業の実態を把握する力、b)貸出先企業への助言能力のスキルダウンから、事業性評価融資が一向に進んでいない(あくまで総論)

といったことでした。

今までのところは、私だけでなく、融資コンサルタントの誰しもが執筆いるところです。

それでは、本コラムの本題ですが、“”事業性評価融資の真の主役は誰でしょうか“”
ほとんどの融資コンサルタント方は、銀行!! と答えるかもしれません。

確かに、銀行は事業性評価融資を実践するタスクは追っているかもしれません。
でも、真の主役は事業主のみなさんであるべきなのです。

なぜなら、自分たちが融資をしてほしいのだから、知的資産経営の見地から自社の強み・克服すべき弱みを分析し、
また、市場や顧客などの動向から外部環境を分析し、事業戦略を練り、この進行要領につい事業計画書などの資料を作って銀行員に説明する。

つまり、みなさんから能動的に銀行員に働きかけるのが筋だと思います。

理由は、銀行はみなさんの会社とだけ事業性評価融資について調整するのではありません。当然、融資枠を狙って競合先とのコンペだって充分に考えられます。
ですから、みなさんが主役となり、みなさんから能動的に銀行員に働きかけることが重要なのです。

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