『事業性評価検定』から学ぶ事業性評価

 

平成29年5月26日に、きんざい社の事業性評価検定を、6月4日に銀行業務検定協会の事業性評価3級を受験してみました。(ちなみに、2級と1級の検定試験は未だありません)

いづれも今年から始まった検定試験です。今回は、『検定試験から垣間見えたこと』についてお話しさせていただきます。

まずは、事業性評価について復習しましょう。

 

 

企業の経営改善や事業再生を促進する観点から、金融機関が保証担保等『必要以上に依存することなく』、企業の財務面だけでなく、企業の持続可能性を含む『事業性を重視』した融資や、関係者の連携による融資先の経営改善・生産性向上・体質強化支援等の取組が十分なされるよう、また、保証や担保を付した融資についても融資先の『経営改善支援等』に努めるよう、監督方針や金融モニタリング基本針等の適切な運用を図る。

 

これらの試験は、国家資格の試験のように一定レベルの力量に達していない受験者を震い落とすものではありません。
したがって、出題者から銀行員に対し何らかのメッセージがあるのでは?
と思い、今回のテーマにしました。

まずは、試験の内容です。出題範囲は、以下通りです。また、主たる受験者は銀行員さんです。

  1. 事業性評価の意義、金融機関に求められる役割
  2. 取引先企業の実態把握(定性分析・定量分析)と業界の理解
  3. 取引先企業のライフステージに応じた各種支援策
  4. 関連法令他

1.の「事業性評価の意義、金融機関に求められる役割」について、
過去の財務状態や担保によって融資や助言を行うことが望ましい・・ とあったら確実に『×』です
★★金融機関の職員は目利き力を養い、顧客と密に連携し長期的視点で助言を行うことが望ましい
・・とあったら確実に『○』です。

これらは、「事業性評価」とは何か? これさえ分かっていれば、常識で解ける問題です。

ではなぜ、こんな問題が出るのか?

きっと、銀行員にとって、わかっていてもなかなか、過去の財務状態や担保余力を重視した融資方針から脱却できないものだからだと思います。

は、たとえば、1千万円の融資を50社行い、年利2%の利息収入があったとします。
この年に1社でも回収不能になったらこれだけで利息収入は飛んでしまします。
だから必要以上に担保に依存してしまうのです。

★★は、目利き力を養うために、現在、精力的にノウハウを整備したり、若年融資担当者のトレーニングを積んだりしているようですが、成果が出るまでにはまだまだ時間が掛かりそうです。

 

でも、これを容認してしまったら、事業性評価の制度は風化してしまいます。
そうならないためにも試験問題として反復出題させることで、
警鐘を鳴らし続けていただきたいと思います。

金融機関としては自行の経営を優先しなければなりません。リスクはあまり取りたくありません。
かといって事業性評価に後ろ向きでは、金融機関にとっての優良貸付先は生まれてきません。

したがって、まずは、「事業性評価融資枠○○○億円」と予算を組んで、この枠内で保守的に実施することでしょう。

平素より、定期的に現況と今後の事業展開について「報連相」することで、
””みなさんの会社はしっかりとした経営をしている、透明性がある””
と思っていただけることでしょう。
この姿を見せて他社より先んじて事業性評価の融資枠に入り込むようにしましょう

2.の「取引先企業の実態把握(定性分析・定量分析)と業界の理解」
銀行業務検定協会の事業性評価3級では、SWOT分析、PEST分析、5フォースモデル、ライフステージごとの支援策についての問題でした。

わたしは、出題者に対して、なぜ、こんな問題を出すの!!と言いたいです。
なぜなら、超簡単な問題だったからです。
ここで、常識で解ける問題や、選択肢の正誤がはっきりした問題は出してほしくないのです。

金融機関の職員様が顧客に寄り添い支援をするためには、的確に話を聞き出すヒアリング能力が重要です。

この感性を引き出させるためにも、もっともっと答えを悩ませ試験会場での現場対応力で正解にたどり着くような問題であってほしかった気がします。

金融機関の職員様には、是非、それぞれの問題について正誤を自分の言葉で他人へ説明できるようになっていただきたいと思います。
それができて「問題が解けた」と思ってください。

ここからは、経営者のみなさんへのお願いです。

まずは、金融機関の職員さんは、慣れるまでは形式的にヒアリングをしてくることでしょう。

例えば、SWOT分析の際に、御社のS:強みとW:弱み、O:機会(追い風の事業環境)とT:脅威(逆風の事業環境)について漠然と教えて下さい、といった質問のしかたでしょう。

今回の試験問題から推察すると金融機関の職員様がヒアリング能力を発揮し、経営力強化に向けたアドバイスを行うのは難しいことなのかな、と思ってしまいます。

みなさんは事業主です。どのように経営革新を図って行きたいか、一家言持たれていますね!

 

このビジョンが達成される姿を描きながら、
みなさんのほうがリードしSWOTの各要素から将来の事業の有効性を説明し、
金融機関との関係性を強化されたらいかがでしょうか。

具体的には、

脅威:そもそも野放し状態で経営をしていたら売上が落ちてしまう悪化要因
機会:本革新計画が有効と思われる市場環境などの好転要因
強み:本革新計画の遂行にあたって既に備わっている、備えることが容易な人材・技術・ノウハウや生産設備等
弱み:本革新計画の遂行にあたって持っていない、戦力的に弱い人材・技術・ノウハウや生産設備等

これらについて、みなさんから説明することで有益な情報共有が図れます。
これを機会に、金融機関の職員様がお客様の紹介などに一役買ってくれると大成功ですね。

如何でしたでしょうか。

今回は、『事業性評価検定から学ぶ事業性評価』、とお題を付けておきながら、
実際のところは、私が言いたいところを検定試験に恰好を付けてお話ししていたようですね。

でも、6月4日の「事業性評価3級」の検定試験は、初回の割には、全国で約1万人の受験者がおられました。
それだけ、『関心が高いもの』であるとご理解ください。

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