原価計算のノウハウを吸収しよう! 原価低減活動を実践しよう!

みなさんこんにちは。今回は、『原価計算のノウハウと原価低減活動』についてお話しさせていただきます。

はじめに

最近、原価計算や原価管理についていろいろと思うところがあります。

ある従業員5名ぐらいの下請け製造業の筆頭従業員さんは、
いつも見積りを出す際に、““ほんとうにこの積算がリーズナブルなのか”“、
常々疑問を感じていたようで、きちんとした原価計算をしたうえで値付けを行いたい、
と社長に進言したようです。

また。従業員30名ぐらいの食品製造業の若い社長様から「経営力向上計画」
策定のサポートを依頼された時のことです。

改善実施項目を「製造業指針」の中から真っ先に選んだのが
「実際原価の把握とこれを踏まえた値付けの実行」でした。

理由は上記の会社と同じです。

原価管理を卒なく行うためには、当然のことですが、
製品別・商品別の原価計算を行うことが必要ですし、これは、
製造業・建設業に限ったことではありません。

そして、原価管理こそ、続かない・続いてはいるものの形骸化している、
こんな会社を何十社となく見てきました。

原価管理が整流化されている会社は“”苦境に立った時に強い“”
と私は断言できます。

是非、例に挙げさせていただいた2社様には原価管理を継続実践し、
筋肉質な会社を築いていただきたく存じます。

原価計算のノウハウを吸収しよう!

原価企画

原価企画とは、製品や商品の企画開発の時点で『許容原価』を見積っておく、社内で共有しておくことです。
そして、許容原価とは、予想売価⊖許容利益、で計算されます。

商品・製品の原価は企画開発段階で7~8割方決まってしまう、と言われています。

したがって、自社ブランドの商品・製品を製造販売している会社では、
ここの段階での業務精度が経営の善し悪しに大きく影響します。

まずは、企画開発の段階で「市場の声」を収集し、製品・商品の荒仕様を設定し
「見積原価」を策定します

往々にして、『許容原価』<「見積原価」となってしまうことでしょう。
もしも逆だったら、ほんとうにその値段で売れるの! って思いますよね

ですから、「見積原価」≒『許容原価』に持っていくために、
仕様や工法などを見直していくのが真の原価企画の目的なのです。

  • 営業・マーケティング部門・・・市場ニーズの再検証
  • 設計部門・・・もっと安い原材料・部品に代替できないか
  • 調達部門・・・もっと安く原材料・部品を調達できる先はないか
  • 生産技術部門・・・設備投資を厳選し減価償却費が減らせないか
  • 製造部門・・・作業のやり方を改善できないか、内製・外注の配分を見直せないか
  • 品質保証部門・・・市場のニーズに対して過剰品質になっていないか

私が以前にいた会社でもこれらを「コストDR(デザインレビュー)」と呼称し、
わたしも経営企画部門として参画し、会社全体でこんなことをしていました。

先程申し上げたように、“”商品・製品の原価は企画開発段階で
7~8割方決まってしまうのだったら、
その後の量産段階での原価管理や原価低減活動なんてやる意味がない“”
と思われている方多数おられます。

このご意見には真っ向から“”No“”と叫びたいです。

だって、現実は、原価企画段階で設定した『許容原価』が守られなかったり、
原材料の高騰のカバー策など新たな原価低減課題を解決して
いかなければならないからです。

企画開発時点での『許容原価』の策定は、貴社のインテリジェンススキル
(知的能力)に依るところが大きいですが、

これを死守する量産段階での原価管理や原価低減活動は
従業員1人1人のアイデアで実践して行くものです。

私は、この組織的な遂行力=PDCAこそが、差別化できる知的資産だと思っています。

原価計算の制度設計

原価管理を実行していくには、まず、原価計算を行い、採算性を計る必要があります。
この原価計算は

①個別原価計算(注文番号別原価計算)
②総合原価計算(製品別原価計算)

に分類されます。
たとえば、1台数百万円のような機械装置でしたら、
個別原価計算で注文番号単位に原価を把握するのが良いでしょう。
まして、一品物のようなものでしたらなおさらです。

また、1ケ数千円のような物で連続的に生産するものでしたら、
総合原価計算が効率的です。注文ロット単位に製造していきますので、
ロット別に原価計算を行うか、これが儘ならなければ、
製品別に原価計算をすることになります。概ね、後者のようです。

個別原価計算と総合原価計算を比較すると以下のようになります。

表1 個別原価計算と総合原価計算

要は、個別原価計算は高額な生産品に適用するため、
作番単位に把握できる費用はより精緻に作番単位に集計しようとします。

たとえば、注文番号○○のための出張であれば、
当該出張旅費を該当作番に入れ込むようにしている会社もあります。

これに比べて、総合原価計算は、あるところ効率性も考慮しています。
(在庫金額の評価は必要ですが)

総合原価計算であっても、製品別に原価が把握できていれば、
原価管理が面白いように進みます。

標準原価と実際原価

標準原価

標準原価とは、「製品の材料や製造にともなう労働力の消費量について科学的・統計的調査に基づいて算定されたものをいう」なんて教科書には書かれています。

要は、一定の利益を出すために目標とする「予定原価」と思って下さい。

であれば、冒頭の原価企画のところで出てきた、「予想売価」⊖「許容利益」の
『許容原価』とどう違うの、って思わないですか

基本的には同じだと思っています。違いは、
「許容原価」が、新製品の企画開発段階で行うものに対し、

「標準原価」は、応用製品の見積りのための原価算定や
PDCA活動に活用する次期目標原価として使われるようです。

広義には、既に生産実績のある製品群ですから、
「許容原価」に比べ、精緻に信憑性のあるロジックで策定します。

連続生産品の標準原価計算の例を示します

表2 標準原価計算書サンプル

この例は、電子回路部品を例に取ったもので、個別製品を各工程単位で計算しています。

必要な原単位としては、

①各工程単位の良品率、
②各工程単位の使用材料、基準量、仕損、購入単価
③各工程単位の標準作業時間と賃率、間接費割です。

①は、過去の不良実績と対策程度、不可抗力による発生度合から求めます

②はパン屋の小麦粉と思ってください

このパンは小麦粉を20グラム使う・・・購入単位がキログラムなので基準量は0.02kg
小麦粉1kgパン製造に充てる際に10gはロスが生じるので1.01kg投入する必要がある
・・・仕損1.01倍
ここから、基準量×仕損×購入単価で材料費が計算することが
ご理解いただけたと思います。

③は標準作業時間×賃率で直接労務費を、
標準時間×間接費割で製造間接費を計算しています。

賃率は、1時間当たりの直接労務費で、
直接労務費の実績を作業時間の実績で割ったものです。まぁ時給みたいなものです。

間接費割は、1時間当たりの製造間接費で製造間接費の実績を
作業時間の実績で割ったものです。

ポイントは標準作業時間の算定の仕方です。
実働時間を集計し補正しながら求める方法もありますが、

IE(インダストリアルエンジニアリング)の手法を用いて、
ストップウォッチで計測し求める方法が良さそうです。

実際原価

実際原価と実際に掛った原価を称します。

ただし、どの会社も個別製品の原価の足し算が決算書の製造原価と一致しているわけではありません。

なぜなら、これを実現するためには相当の労力と時間が掛かるからです。

原価を下げる行動テーマの達成度が図れれば、それで良いのでは、と私は思います。
華美な管理は続かないからです。

実際原価の計算方法は、表1をご参照下さい

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原価分析

実際にこんな分析ができれば、まずは良いかな、と思います。

表3 製品Aの要素別原価分析

基本的には数量差異と単価差異について分析することです。

たとえば、材料費の数量差異について、使いすぎの場合には、
何らかのトラブル考えられます。

これは、きちんと再発防止に繋げるためにも「製品事故発生報告書」
を作成し影響額を整理しておく必要があります。

単価差異については、特に、中小企業の場合にはなかなか購買部門まで設置できないことからか改善は難しいかもしれません。

でも、専従でなくても、誰かを担当に付けて管理してみてください。

 

きっと、相見積もりの徹底や第二の調達先開拓など成果がでることでしょう。

直接労務費の数量差異は、基準作業時間と実際の作業時間(総作業時間⊖
無作業時間)との差のことです。

ここは、きちんと管理しておきましょう。
作業時間を短縮したって人員対策ができなければ、結局、労務費は減らない、
だから、こんな管理はムダ、とおっしゃられる方がいます。

理屈はそうですが、生産量が急に増えたときに慌てないように、
常に効率化のトレーニングを積んでおくことは非常に重要です。

忙しくなったときにきちんと作れるか、注文をキャンセルせざるを得ないか、
会社運営に大きく左右します。

直接労務費の単価差異を分析するには、実際の賃率を計算する必要があります。
これは、結構大変ですし、決算が締まらないとできません。

個人的には、直接労務費の単価差異まで、製品別の原価分析に際しては必要無いかな、
と考えています。

原価低減活動を実践しよう!

まず、仕組みを作ろう

原価管理PDCAの仕組みについては、各社の事情によって決めていただければ結構ですが、当たり前のことでも、しっかりと社長名で文書化し制定しておくことが非常に重要です。

なぜなら、中途半端な取り決めだと続かないからです。

ご参考まで。私だったら、こんな仕組みにしたいと思います

  • PDCA励行の目的は、従業員全員で原価に関心を持ち、守るべき原価目標を共有し、
    原価を下げるアイデアを出し合い、考えて行動する集団となり、収益の安定確保を目指す。
  • 総責任者は社長の○○が務め、進行役は全体を見渡せる経理部長の△△が務める
  • 収益改善会議の審議事項は、原価低減のみならず売上拡大の審議も原則含めるが、売上の個別フォローアップは製販会議で行うものとし、原価低減及びコストパフォーマンス改善に向けたものとする。
  • (計画)とは、前年度末に承認された各部署の行動計画と経理部門が策定した「売上高・利益計画に則り、これを予算とし原価低減を基軸とした収益改善活動を展開する。
  • (実行)は、前回の経営会議の決定事項を踏まえ、各部署主導で実施する
  • (点検)は、経理部門で売上高・総費用・損益の予実比較を行い、関係部署に送付し、
    各部署は予実差異の要因を分析し、その対策を踏まえ、次回の経営会議で報告する
  • 収益改善会議で、C(点検)に際し、各部署の予実差異の要因、その対策に関する報告を受け
    全員で(改善策)を審議する。

収益改善誘導における責任部署の明確化

ISO9000を認証取得されている会社では各部署の責任と権限を
制定しているはずですが、

加えて、収益誘導における諸活動の責任部署も明快にしておいたほうが、
後々いざこざが起きずにすんなりとPDCAが遂行されます。

ここで言っている収益改善誘導部署の位置づけとは、
本来、収益改善活動は全部署で垣根を超えて実施するものですが、
各項目において主たる責任を制定しておく、といった由からです。

参考までに、わたしの描いたイメージを表4に示します。

表4 収益改善活動における誘導責任部署の制定

この中、社長様には重要なお仕事があります。
誘導部署の部門長の力加減・発言力を過度に本活動に持ち込ませないことです。

たとえば、製造部長は先代社長の番頭役を務め社長様の頭のあがらない人だとします。
設計部長は実力はあるものの6ケ月前に中途入社したまだ発言力の無い人だとします。

製造部長が料簡の狭いひとだったらどうでしょう。
省人化が進まないのは自部門の責任が大きいのに,

設計部門のプロセス改善が生ぬるいからだ!
なんて他部門に責任を転嫁することが往々にあるでしょう。

これを許してしまったら組織的な行動なんて成立しません。
社長様はよく観察し、これを許さないことです。

収益分析の要領について

先ずは、間髪入れず以下の表5 を見て、4~6月度の営業損益がなぜ赤字になったのか、
それを分析してみましょう

表5 予実比較

「粗利」の分析

実際のみなさんの会社の決算書とは一寸違いますが、ここでは、
売上高ー材料費を『粗利』と称しています。限界利益と同じです。

売上高が¥5,000減って材料費が¥700しか減らなかったから
¥4,300未達成となっここれでは、ただ数字の追いかけっこをしているだけです。

これを、表6 のように「数量差異」と「単価差異」に分けると
PDCA(CAPDo)が進んで行きます。

表6 粗利の差異分析

 

 

 

 

作業量増減は、

①受注が取り切れなかったのか
②納期が間に合わなかったのか
③返品、不良品の発生

の影響などですね。
①は営業部門、
②③は製造部門がPDCAのA(改善アクション)を企て行動しましょう

価格変動は、

①売価変動
②材料費変動(材料購入単価差異、材料使用量増減)
③製品構成(粗利率の高い製品、低い製品の構成変化)

などです。
②と③をつかむためには製品別原価計算のシステム構築が必要です。
このシステムは完璧を求めたらPDCAが回っていかなくなりますので、
みなさんの会社に合った使い勝手の良いシステム設計が必要です。

売価を下げたら(下げられたら)材料費を下げなければ粗利率はキープできません。
まずは、これらの影響額をつかみ、営業部門(担当者)・製造部門(担当者)
・購買部門(担当者)間の連携(情報共有)を強化し、
対策課題推進部署を明快にしてPDCAを回していくことが大切です。

人件費(労務費)の分析

表7 の作業時間管理表を見てください。

表7 作業時間管理表

人件費を管理するには、少なくとも製作部門では、
日時単位で作業員ごとに作業時間を記録して月次で集計し、
これと人件費支出を紐づけて管理することが重要です。

この例では、売上高は計画に対し10%ダウンしているのに
人件費は計画通りで下がっていない。

でも、売上ダウンに対し実作業時間は10%落としており
作業能率はそこそこ達成できたようです。

ただし、無作業・間接時間の中で90時間の「手空き」を生じさせたことは反省点です。

個人ごとの教育プログラムをしっかり立てていれば、
この時間を有効に使い習熟アップに資することができたかもしれません。

人件費と作業時間を紐づけて管理することでこのようなことが発見できます。

経費の分析

これは“きちんと費用統制ができた結果での支出だったかどうか”がポイントです。

 

如何でしたでしょうか!
最近、私が感じていることですが、若いバイタリティーに溢れた経営者ほど、
原価管理にシビヤです。

従業員1人1人が」考えながら行動する、躍動感のある会社を作り上げるには、
まず原価管理を励行することこそが重要と思います。

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